2009年03月23日

『秋期限定栗きんとん事件 上・下 米澤穂信』

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫) 秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

この時期に秋期限定というタイトルの本が出るのはいかがと思うが、
待ちに待っただけに、やっぱり嬉しいもの。
『夏季限定トロポカルパフェ事件』で相互関係解消をし別れた
小鳩君と小佐内さんのその後を上・下巻で書いたこの秋期限定。
さてさて、二人の再開はあるのだろうか。

小市民を目指す小鳩君と小佐内さん。
2人でいることにより、
決してその目指す小市民まで届かないと思い知らされ、別れた二人。
前作の『春季限定』『夏季限定』では二人でいることが当たり前だったが、
今作では、二人が一緒にいないどころか、
お互い別の恋人を作り、別々のパートで進んでいく。
そして今回起こる事件は放火。
放火魔事件をメインに添え2人の秋から次の秋までの1年が始まる。
やっぱりファンとしては、お互いが別の異性といる。
仲良くかどうかわからない空気が漂っているが、
それだけで変にやきもきさせられる。

そんな甘酸っぱい思いも感想になるが、
やはり肝は、小市民というものと二人が向き合うことになるのが、
今作の一番の見どころだと思う。
二人とも感情を出さないので、読み取るのが難しい。
でも、言動からなんとなくわかる。
そして小市民というもの、
何より小市民に憧れた自分自信、
小市民になることで得られるものを、本当に掴むために
必要なものとは何かということを知るまでに至るプロセスが、
一年かかってやとぐるりひとまわり。
小市民というシリーズでくくるなら、これで完結がベストだろう。
あと残るのは、高校生活にさよならを告げ、
学校から離れた二人の関係をどうするかだけだと思う。

『秋期限定栗きんとん事件』決して甘ったるくなんかなかった。
長いこと仮タイトルだった『秋期限定マロングラッセ事件』
から、タイトルが変わったのは正解だろう。
二人が周りに芯まで漬け込み染められるなんて考えられないから。


関連作品感想リンク
『春期限定いちごタルト事件』
『夏期限定トロピカルパフェ事件』
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2009年03月12日

『ボトルネック』 米澤穂信

ボトルネック ボトルネック


自分がいない世界では、何が変わっているだろうか?

そんなIFの世界に入り込んだ主人公が、
自分の世界では生まれず、IFの世界で自分の代わりに生きている姉と共に、
元の世界へ帰るための方法を探しながらも、
自分の世界と自分のいない世界との違いに気づいていく、間違い探しの物語。

青春小説独有の青臭さと孤独感が、淡々と語られながら、
次第に、どうしようもない残酷な事実が突き付けられる。
自分自身がボトルネックだったという。
自分という存在を、根底から揺さぶられる物語は、すごい痛みが伴った。

東尋坊から始まる物語は、普通の青春小説のような、
眩しさこそないが、淡く、儚い。

懐かしくなんかない。爽やかでもない。
若さとは、かくも冷徹に痛ましい。
ただ美しく清々しい青春など、どこにもありはしない――。
このキャッチコピーが、作品の雰囲気を物語っていた。





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2008年12月27日

『遠まわりする雛』 米澤穂信

遠まわりする雛  遠まわりする雛

どうもお久しぶりのブログ更新です。
最近どうしてたかというと、風邪ひいて寝込んでました。
なんか去年も同じことあったような気が……
さすがに8度4分で残業2時間やった次の日は死にました。
だって人がおらんから、帰れない!って状況だったので。
そんなわけで寝て、寝て、寝まくって、
もう眠れないよ、いつのまにか風邪治ったよってことで、
ブログでも書いてます。ハイ。
風邪で病院行ったのは小学生の時以来。
インフルエンザじゃなくて、本当に良かった……

と古典部シリーズ第四弾。
今回はこれまでの物語の隙間を埋めるような短編集。
主人公奉太郎らの学園生活1年間を振り返りながらも、
新しい物語が散りばめられていて、
それぞれの人物の人間関係を確認と再発見。
そして一年を通じての変化が垣間見られた。

最後の話のタイトル名になる「遠まわりする雛」を読んだ後は、
これからの奉太郎ら、古典部の人間関係が変化する兆しが感じられた。
やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことは手短に。
の少エネ主義の奉太郎が、何をやるべきことにするのか。
何を大切に思うのかが、変化していきそうだった。
恋心か、憧れか、はたまた別のことになるのか。
える、里志、伊原ら他の古典部メンバーも何かしらの動きがありそう。
ミステリーも重要というか、もっとも核になるのだけど、
青春小説の要素も持ち合わせているだけに、
人間関係もこれから複雑で重要なウェイトを占めそうだ。
何はともあれ、これからも気になるシリーズになりそう。

関連作品感想リンク
『氷菓』
『愚者のエンドロール』
『クドリャフカの順番』
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2008年11月08日

『クドリャフカの順番』 米澤穂信

クドリャフカの順番 (角川文庫 よ 23-3)  クドリャフカの順番

古典部シリーズの第三弾。
これまでのシリーズでずっと名前が出ていた、
カンヤ祭。いや、神山高校文化祭が行われる。

これまで、主人公の奉太郎のみの語りで物語が進んでいたが、
今回は、古典部メンバー4人の語りで物語が進んでいく。
4人のそれぞれの心情が見られて、それは楽しくもあり、切なくもあった。
おそらく、第一弾の『氷菓』からあったであろう、それぞれの人物の葛藤。
とりわけ、いつも活動的で、このシリーズでいう薔薇色というやつに
一番近いと思っていた人物。
福部里志のその思いは、なかなかに複雑だった。
『愚者のエンドロール』でも垣間見れたが、
今回ほど彼の決まり文句
データベースは結論を出せないんだ
この言葉が、これほど寂しく聞こえたことはない。

そういった、切ないエピソードが印象的だけど、
物語は、これまでにないほど面白く楽しい。
文化祭が舞台なのでお祭り騒ぎで、楽しいエピソードばかり。
里志の、数々の文化祭イベントでの対決であったり、
作りすぎた古典部文集『氷菓』の売りさばきであったり、
奉太郎の、わらしべ長者物語であったりと、
文化祭は退屈など感じさせない。
さらに、メインエピソードとなる怪盗十文字による、連続盗難事件。
4人のエピソードがパズルのように組み合わさり、
それぞれが、それぞれの役割を持って謎を追っていく。
さらには、奉太郎の姉も満を持しての登場。
文化祭の話だけあり、お祭り騒ぎであり、
盗難事件の結末は、祭りの後のような静けさが感じられた。

関連作品感想リンク
『氷菓』
『愚者のエンドロール』
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『愚者のエンドロール』 米澤穂信

愚者のエンドロール (角川スニーカー文庫) 愚者のエンドロール

古典部シリーズ第二弾は、未完全な映画の結末を考えるというものだった。
作者は、バークリーの『毒入りチョコレート事件』への
愛情と敬意を持って書いたと語っているが、そちらは未読なので、
僕は、純粋に米澤穂信の一つの作品として読んだ。

今回は一冊まるまる、映画の結末を推理することに費やしていて、
読んでいても推理に熱が入る。
ああでもない、こおでもない。
そう考えながらも、物語に没頭してしまい、
僕としては推理はそっちのけになってしまった。
そうなるほど、面白い話だ。
クラスの文化祭のミステリー映画を作っている最中、
脚本を担当する女生徒が心労で倒れてしまい、撮影は中断。
よって映像は、一人の被害者が出たところで終わってしまう。
結末はもちろん、犯人もわからない。
その映像の続きを作るために、主人公の奉太郎ら古典部が推理していく。
脚本の女生徒がいっさい語らないので、これはわからない。
限られた映像だけで、謎を解いていく。
わからない。わからないから、気になる。
わたし、気になります
古典部シリーズの常套文句が出てくるわけだ。

そして青春小説としても、やっぱり機能していて、
薔薇色に憧れる、灰色な主人公が、自分の価値を認めるために、
苦心して出したその答えが、エンドロールへと繋がる。
これがまた、せつない。
心を痛めた女生徒の本当のエンドロールは何なのか。
僕も、とても気になります。いや、気になりましたと言うところか。

関連作品感想リンク
『氷菓』
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2008年11月07日

『氷菓』 米澤穂信

氷菓 (角川スニーカー文庫)   氷菓

米澤さんのデビュー作であり、後にシリーズモノと続いていく
「古典部シリーズ」1作目『氷菓』
英語でYou can't escapeと小さく振ってある表紙の写真は、どこかの学校だろう。
古典部と名が付くだけに、高校生の話で、ミステリー。
いわゆる、日常の謎というもの。
派手さはないけど、見方しだいでは、とても面白しい。

ミステリーなんだけど、高校生活が舞台であるので、
必然的に青春小説のような、雰囲気を持っていて、無気力というか
やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことは手短に。
が、モットーな少エネな主人公といえども、
灰色なんかではなく、どこか青い春のようで、つまりは青春している。
別に、スポーツをしてるわけでもないし、恋愛してるわけでもないし、
個性的な周囲に引っ張られ、なし崩し的に、しぶしぶになのだが、
本人的には意外と気分悪くということもなさそう。
古典部なのに、古典には興味なく、姉の進めで入部しただけで、
みずから事件に突っ込むこともない。
だけど、どこか楽しんでいるとまでは言わないが、
悪くないといった感じで、逃げられないこの状況を受け入れているようにも感じた。
そして、だんだん自分の意識が変わっていることも受け入れている。
つまりは成長しているっていうことで、
その辺りが、やっぱり青春小説のように思える大きな部分かと思う。
もちろん日常の謎ミステリーとしても、楽しめる。
北村薫の「円紫さんと私」シリーズと似た印象。

小さな事件が積み重なって、
最後のタイトルにもなる「氷菓事件」は、この物語の集大成であり、
その解決は、古典部メンバーの皆の作品と呼べると思う。
まあ、実際作品になるのだけど、その辺りは次巻で。



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2008年05月13日

『夏期限定トロピカルパフェ事件』 米澤穂信

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫) 夏期限定トロピカルパフェ事件
 
早くも地元に2回目も帰っている新社会人のブログへようこそ。
春も過ぎて、夏だクールビズ始まるぞって時期なのですが、
風が冷たく、最近妙に寒い。
でも、心は夏に向かい『夏季限定』と名の付く小説を読んでみました。

小鳩君と小佐内さんのある夏模様。
鍵を握るのは小佐内スイーツセレクション・夏。
それだけ見れば、とってもスイーツな話かと思える。
実際、ほぼ恋人同士みたいな二人の夏休みの出来事。
話は夏の話のいくつかの短編で出来ているのだけど、
最後の話を読み終えると、恋人のような甘い夏休みが、
まったく違った形で見えてきてしまう。
短編集のようで、完全たる長編。
そのための鍵となるのは、やはり小佐内スイーツセレクション・夏。

前作の『春期限定』から、かなり話が深まってきて、
断然面白く感じられた。
続編決定しているのだけど、読み終えた時はそのことを知らなくて、
まさか、こんな終りかたとは……
と、予想できていたとはいえ、ショッキングだった。
タイトルからすれば、残りは「秋季」と「冬季」
ここからが、作者の腕の見せ所になると思う。
これまでは、小市民を目指す二人の話だった。
そして、今後はどうなっていくのか。
やはり、小市民を目指すか、自分の本質を認めるか。
さらに、二人の関係性がどうなっていくのか、
推理物としても楽しめるが、人間ドラマとしても気になってしかたがない。
夏が待ち遠しい。

シリーズ過去作品感想リンク
『春期限定いちごタルト事件』 
posted by kakasi at 01:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 「米澤穂信」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月26日

『犬はどこだ』 米澤穂信

犬はどこだ (創元推理文庫 M よ 1-4) 犬はどこだ

何か自営業を始めようと決めたとき、
最初に思い浮かべたのはお好み焼き屋だった。
しかしお好み焼き屋は支障があって叶わなかった。
そこで探偵事務所を開いた。
この事務所<紺屋S&R>が想定している業務内容は、
ただ一種類。犬だ。犬探しをするのだ。  本文より

一応探偵小説だけど、こんな調子な探偵です。
タイトルが犬はどこだ。
犬を探しているように思えるタイトルだけど、
関係ない事件が舞い込んでしまい、
主人公の心情吐露のようでもある。

さて話は、2つの視点で進んでいっている。
犬を探したい探偵というか、他に呼び名がないから
探偵に納まっている主人公。
そして探偵志望の主人公の後輩兼、紺屋S&Rの一応所員の半田。
2人の請け負う2つの事件が、それぞれ別物だが、リンクしてくる。
しかし、互いに状況報告していないので、
2人が、事件の関係性に気づかないことがもどかしくも、
おもしろくも、これからどう気づいていくかがおもしろい。

そんなわけで、上手く話しがかみ合っていかないだけに、
物語も一筋縄では進んでいかない。
様々トラブルであったり、横道にずれる箇所が出てくるが、
その一つ一つが、たった一つの事件を解決するための道になっている。
「犬はどこだ」何て言っている間もなく事件は進む。

しかし、主人公は実質探偵ではない。
事件を解決する存在ではない。
解決するのは犬探しで、サーチ&レスキューなのだ。
犯罪を鮮やかに解決する名探偵役ではない。
そんな彼の最初の事件。次に期待です。
posted by kakasi at 22:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 「米澤穂信」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月07日

『春期限定いちごタルト事件』 米澤穂信

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)春期限定いちごタルト事件


小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが
互恵関係にある高校一年生。
きょうも二人は手に手を取って
清く慎ましい小市民を目指す(amazonより)

春です。桜もキレイ。4月に入りましたね。
皆さん、お仕事がんばってるようで。
2日連続で、警察さんに夜中、職質受けました。
ホントがんばってますね……
何もなくて良かった……
そうそう、kakasiも社会人になりました。
そんな春に、春期限定とのタイトルを持つ小説読みました。

清く慎ましい小市民っていうのは、
本当に普通で、そんなこと楽勝そうにも思えるのだけど、
普通が一番難しいかもしれない。
誰だって、ちょっと変な所あるんじゃないかと……
僕だって、ねえ……

小市民を目指す話なんだけど、推理小説。
ちょっとした日常の謎を楽しむのも一興、
小市民を目指している、小鳩君と小佐内さんの謎も一興。
なんとも、可愛らしい表紙に、可愛らしいタイトル。
スィートなんだけど、ちょっぴりビター。
ただ甘い話なのではなく、どこか黒い雰囲気が出ている。
個性の時代と言われている昨今で、
小市民を目指している人物達は、ちょっぴり、いやかなり変わっている。
そこに、何か黒い雰囲気を感じられた。

そのビターな黒い雰囲気を最も感じたのが、
最後の話の「狐狼の心」
やっちゃったね、お二人さんと、小市民どころではない。
とくに小佐内さんは、本性を出してきたなと。
一体、小市民を目指すまでに、何があったのかが、とても謎だった。

それと、甘い物がいっぱい出てきて、美味しそう。
タイトルに、いちごタルトと付けるくらい、
甘い物を推していて、食欲を煽ってくる。
そのせいか、何年か振りに、巨大パフェを4人でパクついてきました。
美味しいけど、僕は甘いものは、ほどほどで良いかな。
女の子の甘いものの求め方は、僕には謎です。
posted by kakasi at 01:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 「米澤穂信」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月15日

『インシテミル』 米澤穂信

インシテミル  インシテミル

ポップな表紙から、軽めで若者向けのミステリーを思い浮かべるも、
想像以上に本格的な行動心理学的実験であり、ミステリー。
読んでみると、古典ミステリー+αで、帯に書いてあるように
私たちのミステリー
といえるような、新しいミステリーだった。

時給1120百円という怪しげな求人情報。
お金、興味本位など、そのバイトに様々な思惑で集まった12人。
バイト内容は、ある場所にある条件化で、24時間拘束され、
その様子を全て監視されながら生活するというもの。
さらに、その場所では刑法が適応されず、
外部とは、完全にシャットアウトされる、
いわゆるクローズドサークルもの。
そんな状況化で、殺人を犯したもの、殺人を暴いたものなどには、
金額のボーナスがされる。

心理的に追い込まれた人間の苦悩や葛藤。
そして、ついには起こってしまう殺人事件。

驚いたのは、主人公の豹変っぷり。
当初、頼りなかったというか楽観的すぎて大丈夫かと心配だったが、
こうも変わるとは。
もう一つおまけに驚いたのは、後半での展開。
こういうケースもあるという。

普段ミステリーの謎解きは、あまり考えず物語に没頭してしまう僕でも、
ついつい考え込んでしまうくらい、飲み込まれた。
それに1日で読んでしまうほど、物語に”イン”シテマシタ。
ついでに、インシテミル=incite millと書くよう。
殴りあいとか、施設・機関などを刺激する意味があるとか、ないとか。
英語はよくわからないが、色々意味がありそうだ。


posted by kakasi at 12:16 | Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 「米澤穂信」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月21日

『さよなら妖精』 米澤穂信

さよなら妖精 (創元推理文庫)  さよなら妖精

哲学的意味がありますか?
とりわけ、そんな言葉が胸に響く。
遠い国からやってきた、少女マーヤ。
そして、帰る場所を告げずに、故郷に帰ったマーヤを探すため、
思い出だけを頼りに、居場所を探すための、心の旅路。

時代は、1990年初頭。
彼女の故郷の、ユーゴは独立運動が盛んだった。

日本の文化、海外の文化や、日常のちょっとした謎に彩られ
彼女と主人公たちとの、
ちょっとした異文化交流を秘めた、青春小説になっている。

マーヤは、もともと帰る予定も決められているので、
別れは、あらかじめ約束されたものになっている。
それは、彼女も望むことなので、誰にも止められない。
帰るユーゴが、その時、どんな状況だとしても。
帰った後、彼女がユーゴのどこに居るのか、探す行為も、
わかったからと、どうなるというものでもない。

力の無さ、自分という存在価値、やるべきこと。
どうしようもない、やるせなさを受けながらも、
何かできることはないかと、追いかける姿は、
哀れで、哲学的どころか、なんの意味もなく感じるけど、
主人公にとって、とても大切なことなんだと思った。

本の帯には、
忘れ難い余韻を残す
出会いと祈りの物語
と言葉が綴られている。
上に、僕は色々述べたけど、
まさに、この通りの出会い、そして祈りの物語。
そして、その余韻が、とても忘れられない。
posted by kakasi at 18:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 「米澤穂信」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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