2013年05月25日

『悪の教典(上・下)』 貴志 祐介

悪の教典 上 (文春文庫) [文庫] / 貴志 祐介 (著); 文藝春秋 (刊)悪の教典 下 (文春文庫) [文庫] / 貴志 祐介 (著); 文藝春秋 (刊)  悪の教典(上・下)

貴志さんの本は、『硝子のハンマー』『新世界より』の2作は読んだことがある。
そういえば、貴志さん好きだった大学時代の友達は今何してるんだろう。
大学時代の友達と今も連絡とったり、会ったりしているのは
3人くらいしかいないので、すごい懐かしい感じ。
もう、完全社会人で、アラサーなわけなのだから。

アラサーって言葉が自分に当てはまるなんて、
学生時代からは考えられない不思議。
でも、進級試験受かったから、まあ良いかな。
いつでも前を向いて行きたいのです。

そんな社会人な自分ですが、まだまだくそったれな部分も多くて、
仕事でいえば、リーダーシップにしろ、利益関連の数字にしろ、
まだまだまだまだ……と上司からネチられるのだけども、
この作品の主人公は、真逆な完璧人間。
職業は高校の教師で、序盤こそは教師という立場に納得できるけど
徐々になんでこの人が教師をやっているのだろうと思えるほどの
技能の高さに驚くとともに、
タイトルにもある『悪』という二文字に戦慄する。

冒頭から出てくるカラスのメタファーに気になりながら
徐々に、何かおかしいぞと主人公を疑い、
最後には地獄絵図のようあラストに持っていく力量はすごいというか
何でそう思考回路になるのだろうと感じる。
思考回路はショート寸前というより、
一般人とは違う物事の線引きであることが何より恐ろしい。
でもキチンとエンターテイメントとして楽しめるので
嫌悪感の先にある面白さみたいなものを感じられたと言ったら、
自分もおかしな人間なんだろうかと感じてしまった。




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2010年11月29日

『428〜封鎖された渋谷で〜』 北島行徳

428~封鎖された渋谷で~1 (講談社BOX) [単行本] / 北島 行徳 (著); イシイ ジロウ (監修); N村 (イラスト); チュンソフト (原著); 講談社 (刊)   428~封鎖された渋谷で~2 (講談社BOX) [単行本] / 北島 行徳 (著); イシイ ジロウ (監修); N村 (イラスト); チュンソフト (原著); 講談社 (刊)

428~封鎖された渋谷で~3 (講談社BOX) [単行本] / 北島 行徳, チュンソフト (著); N村 (イラスト); 講談社 (刊)   428~封鎖された渋谷で~4 (講談社BOX) [単行本] / チュンソフト, 北島 行徳 (著); N村 (イラスト); 講談社 (刊)

今年になって、ゲーム愛が再熱いたしましてすっかりゲーマーに。

・真・女神転生ストレンジ・ジャーニー(2周しました)
・高機動幻想ガンパレード・マーチ
・実況パワフルプロ野球2010
・ウイニングポスト7 マキシマム2008

以下のラインナップを今年はプレイ。
そして現在、職場の先輩に勧められて
最新作のポケットモンスターのブラックをプレイ中。
いや〜、小学生の時以来のポケモンなので懐かしい。


そんな僕の愛するゲームの中でも特別こよなく愛するものに
「街〜運命の交差点〜」というゲームがあり、
その続編というか、同じ世界観を持つゲームが
「428〜封鎖された渋谷で〜」
2008年に発売された。この本は、そのノベライズ版。

実際のゲームの方も発売された月に、ゲーム機を持ってないのに買い、
そして弟に頼み込んでWIIを借りてやり込んだのをよく覚えている。
「街」が複数の主人公たちによる、エンターテイメントな群像劇で、
それぞれの物語が独立しながらも、ところどころリンクしているとすると、
「428」は複数の主人公たちによる、サスペンスな群像劇で、
それぞれの物語があるが、ゴールは同じ所を目指しているという感がある。


本はゲームのサブイベントなど横道が排除されて、
エンディングに向かって一本道のシリアスな内容になっている。
ゲームよりも主人公が一人増えていて、新たな視点も楽しめるが
あくまでファンサービス程度かなと思う。

スリリングなクライムサスペンスがメインな話になるので、
横道にゲームと違いずれないぶん、ノンストップで物語を楽しめるのが本の醍醐味。

一人では解決できないが、多くの人々が協力とまでいかなくても、
それぞれが、それぞれの事件を解決するため奮闘することで、
大きな全体像が見え始め、大きな事件を解決する力となる。
そんな内容となっている。


・正義感の強い新米刑事
・渋谷を愛し、ゴミ拾いに精を出す元チーマー
・熱血フリーライター
・ウイルス研究所長
・ネコの着ぐるみを着た謎の人物
・ある劇団員(オマケシナリオ)


これらの人物の視点で描かれる渋谷の4月28日の出来事は、
たった一日の出来事とくくるれない。
よくミュージシャンが一日で曲をつくったが、
これまでの人生がないと出来なかったので、
この曲はこれまでの人生が作曲日数だということを聞く。
この物語も、たった一日だけど、
多くの人々の人生が詰まっている。


過去感想記事関連リンク
・「街〜運命の交差点」
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2009年11月25日

『海を見る人』 小林泰三

海を見る人 (ハヤカワ文庫 JA) 海を見る人

ハヤカワ文庫っていえばSFなイメージで、
難しそうだなって思ったのだけどタイトルから、
ヘミングウェイの『老人と海』を連想させられ気になってしまい、
後書きなどを読んでみると解説に、
計算機を片手に読んでなど書いてあったので断念しようと思ったが、
ハリーポッターみたいに読めばいいんだよと作者が語っていたので、
買ってみることにした、表紙もなんかいい雰囲気なので。

この本は7つの短編。
同じ世界なんだろうなとは思うけど、独立した7つの物語。
少女が先生と呼ばれる人物に7つの物語を語る形式になっている。
科学の話でなく、物語を聞きたい。
不思議でせつない物語を聞きたいと言う少女に、
語る物語は、ほんとにバラバラなんだけど、
重力っというもので繋がっているのだと思う。
これは宇宙の物語で、不思議な世界の物語で、未来の物語。
地球のように内側へ重力が、かかる世界でなく、
外側へと引っ張られる外の世界の物語。
重力に縛られながらも、必死にもがいていく話なんだと思う。
あるいは何かの縛りからもがいていく話といっても良いと思う。

・「時計の中のレンズ」
遊牧民族の少年村長が、歪んだ円筒世界から楕円体世界を目指す物語。
崑崙とか単語が出てくると古代中国を、
遊牧民族というとモンゴルを連想するのだけど、
地球の話ではない……と思う。
政治の話だったり、恋愛要素も混じったりしてるけど、
本質的には冒険譚何だと思う。摩訶不思議な冒険譚。
小さな村長の頑張りが妙に微笑ましかったりもした。

・「独裁者の掟」
途中から物語がこんがらがってしまい、
読み進めていくと、ようやく全てがわかった気がしたが、
どこからどこが?
と、不思議な気分の物語。
冷徹な独裁者と、小さな少女の物語が交互に語られていくこの話。
この『海を見る人』の中で一番好き。
冷徹な独裁者の苦悩と少女の苦悩がピタリとハマる瞬間が、
素晴らしくも、悲しい物語。

彼女は良い人?それとも悪い人?
何かがひっくりかえったような気がするわ。
物語を聞いた少女が先生に問いかける。
その答えを決めつけることは僕にもできない。
「いいえ。わたしは償うのよ」
最後の一文が、物哀しい。

・「天国と地獄」
僕の読解力と想像力の足りなさのせいで、
どうも物語の世界が上手くとらえきれなかった。
だけど、こういうものと思いこめば楽しめた。
魔法の世界では、その魔法の在り方の原理はわからなくたって楽しめる。
SFの世界での科学の在り方の原理がわからなくてもまたしかり。

これは何が目的かはよくわからなかった。
ただ、登場人物が生きていこうとしていた。
生きていく目的がある人物も、特にはそんな目的があるとはわからない人物も。

難しいけどオーソドックスなSFだと思う。
あくまで僕がイメージする未来の宇宙世界のSF。
それでいてミステリアスで、とても大きい話。
世界の秘密という壮大なミステリーに挑むことになる話。
結末は悲しいけど、そこに至る過程はとても興奮した。

・「キャッシュ」
いわゆる仮想現実を舞台にした話。
嘘の世界とも語られているが、嘘で済むような話ではなかった。
誰もがそこの世界は仮想世界としていながら生活する世界。
仮想と現実が狂ってしまうとまでいかないが、
仮想と現実の差異からなるバグが仮想世界を追い詰める話。

これもなかなか面白かった。
主人公が、探偵ということからか、ややハードボイルドテイスト。
アリスのひとかけらが世界に残っている。
そうあれば良いなと願いたい。

・「母と子と渦を旋る冒険」
一言で言うと子供の視点で語られる母の元に帰る物語。
だけど、その一言じゃ全然済まない話。
話自体は、本当に母の所に帰ろうとするだけの話なんだけど、
母と子に「渦」が加わってくるので、SFになってくる。
SFというか科学とか物理の話。
母と子の関係もただの母と子でないので、SF。
人間ではなく生物。高度な知識を得た科学生物といった印象。

・「海を見る人」
表題作。実に哀愁漂う。
SFとかじゃなく、普通の物語としても素晴らしい作品だと思う。
カムロミという少女がでてきて、
一瞬「天国と地獄」の主人公のカムロギと関連するかと思いきや、
そんなことは全然ない、独立した話だった。

場所によって流れる時間が違う世界を舞台にしたこの話。
違う時間の流れ方をする村同士に住む少年と少女の話。
少年が、海の向こうにいる少女を眺めていたという話。
はっきり言ってラブストーリー。
とっても綺麗でとっても残酷なラブストーリーといったら、
ありふれている。ありふれているけど、やっぱり良い話。

・「門」
すべての終わりと始まりの物語と先生から語られるこの物語。
時間を越えることの出来る門で行われた物語。
原因は結果となり、結果は原因となる。

まさにSFで、ようやくきたハッピーエンド。
若い少女の宇宙戦艦艦長と辺境のコロニーに住む少年。
そして少年ら、コロニーに住む人々の先生である大姉の3人を廻る物語。
苺ミルフィーユを食べながら読むのが正解な物語。

と、こんな7つの物語の短編集。
SFが苦手でも楽しめるというのは嘘じゃない。どれも感慨深い。
「門」を最後に持ってきたのは正解だなぁ。
おかげで読了感が、すがすがしい。
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2009年06月04日

『メシアの処方箋』 機本伸司

メシアの処方箋 (ハルキ文庫) メシアの処方箋

この作者の前作が「宇宙を創ることができるか」
そして今作が「メシアを救世主をつくることができるか」

個人の小さな宇宙、救世主という意味あいでなくて、
文字通りのそのもの、壮大でロマン溢れて、不可能な側の
宇宙であり、今作ではメシア。

そんな大きなテーマの『メシアの処方箋』
メシアを作るというより、方舟という古代の遺跡を発見して、
その中から蓮華模様が刻まれている木簡を解析するという
物語というイメージが読み終えた後強く残った。
僕は、その解析する流れが好き。
未知の物体というものに触れて、それを知ろうとする人の好奇心。
僕はアホでバカなので理科の実験でさえ満足にできないし、
研究なんて学者的なことはまったくできないけど、
こういう謎を追及できるようなことをやってみたりしたい。
というか、妄想してしまう。
謎、つまりは、わからないってことは面白いな。


ちなみに謎といえば、『神様のパズル』の映画は、
なぜあんな風になってしまったんだろう。



関連作品感想リンク
『神さまのパズル』
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2009年04月21日

『新世界より』 貴志祐介

新世界より 上 新世界より 下


貴志さんの作品を読むのは『硝子のハンマー』以来で
過去ログを遡ってみたらおよそ4年ぶり。
完全ミステリーだった『硝子のハンマー』
そして今作は、現代から遥か未来を描くSFファンタジー。
そういう触れ書きはするけど、
物語の舞台は、宗教的、土着的なものが感じられるオカルトチックな世界。
主人公の少女のおよそ20年もの長い長い物語。
ページも1000ページを超える、まさに大作。

この物語では人間は呪力という力を持っていたり、
動物達の生態系は、ものすごい変化を遂げていたり、
挙句の果てには、人語を話すバケネズミという奇妙な生き物がいる。
そして遥か過去の文明の中心だった機械は、まったく姿を消している。
別世界の物語のようなこの本だったが、
次第に明かされていく、封印された人類の過去。
閉鎖的な世界で管理されていて、
まるで籠の中の鳥のようだった主人公たちが、
世界の真実へと触れていき、広がる物語は圧巻。

作者もじっくりとこの世界の下地を作っていて、
細かい設定がこの不可思議な世界を理由づけている。
そこで繰り広げられる、少年少女の物語は、
壮大なスケール感を持ち、時代を超えての
人間の愚かさを説いているかのような教訓じみたものも感じられ、
新世界の寓話のようだった。
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2009年02月15日

『鬼のすべて』 鯨統一郎

鬼のすべて (光文社文庫)  鬼のすべて

鯨さんの作品といえば、ブッ飛んでいるが、
その独自の解釈から織り成す歴史の解釈が、たまらなく面白く、
どこか信じてしまいたくなるものばかり。
これまで読んできたものは、上記のような、
独自の歴史解釈を生かすための話の組み立て、
つまり、小説として物語を生かす、キャラクターを生かすより、
その歴史解釈のためのお膳立てのための小説というイメージが強かった。
しかし今回は、表紙から想像もできない本格ミステリーになっている。
ただし、本格ミステリー風味だったのだけど。
やっぱり、本命となっているのは鬼であり、
歴史というより、民間伝承の謎解き。やっぱり、鯨さんだな。

刑事の渡辺みさとは、友人の若江世衣子の死体を発見する。
それはあたかも鬼に見立てられた死体だった。
直後、鬼と名乗る犯人から犯行声明文が送られてきた。
「日本から鬼を消す」という言葉を残し
警視庁を去った男・ハルアキとともに、
みさとは鬼の正体を追う。

少しオカルト染みているが、あらすじだけは普通のミステリー。
事件の謎と共に、民間伝承上の鬼という概念の謎を追っていく。
二つの謎が、しだいに交差する様は、若干力業であるけども、
鬼に関するその解釈は、聞いたことがなくもないが、
その消し方、伝染の仕方というものが、鯨さんらしいな〜と。



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2009年02月14日

『ほんわか! 本についてわからないこと、ねほりはほり!』北尾トロ

ほんわか! 本についてわからないこと、ねほりはほり!(MF文庫ダ・ヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)ほんわか! 本についてわからないこと、ねほりはほり!

バレンタインの真昼間にブログです。
そこのところは、お察し下さい。
まあ僕は、好きな本のことを語っているから幸せです…と、精一杯の強がり。
さすがこんな日に、どっか行こうとも思えないし、
ブログが完全停滞気味なので、久しぶりに。

ダ・ヴィンチで連載されている北尾さんの、ルポルタージュ。
本好きの血が騒いでしょうがないかのよう。
この人は、本好きならわかるわかるの本好き。読んでいて感じる。
それが特別すごいってわけじゃなく、普通なのだ。
本好きなら、本当によくわかる普通の人だ。
ただ違うのは、その行動力。
本の疑問を、本への興味心までは、ごく普通なのだが、
その後、それをとりあえず体を張って調べてしまうことに、
この本の魅力が、凝縮されている。

170本もの連載から厳選して収録されているだけに、
どれもこれも、面白い。
読書好きはモテるのか?
どうしても欲しい絶版本をどうやって手に入れるかといった、
よくありがちな事柄から、
処分された本の末路はどうなるのか?
車内吊り広告はなぜ乗客の目をクギ付けにするのか!?
といったマニアックなものまで。
処分された本……はあまりマニアックでもないかもしれないが、
それを読んでみると、ゴミ捨て場に捨てた本が、
回収車に持っていかれる前に、持ち帰られるかなんて書いている。
そういえば、僕も捨てられるはずの本をよく救済していたものだ。
特に小学校の頃といえば、廃品回収の時にどんな掘り出しものに会えるか楽しみだった。
その頃は、小説はほとんど読んでいなかったので、もっぱら漫画。
近所のおじさんが、
「ゴミにしようかと思ってたけど、欲しいか?」
と渡してくれた、スラムダンクやH2。いい思い出。

他にも本まわりの謎に関する調査は、どれも面白い。
真面目でいえて、不真面目でもいるが、その過程が逸品。
中には、震災後の神戸における本の価値といった笑えるだけでないものから、
もはや、本とほとんど関係がないが、
歩き関する本が増えている中、
お通路が流行っているということで、お通路を実際してみましたなことまで。
読んでいるだけじゃまだまだだ。
書を捨てよ、町へ出よう。
そんな言葉が浮かんでくる一冊だった。


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2008年12月30日

『天孫降臨/日本古代史の闇―神武の驚くべき正体』 コンノケンイチ

天孫降臨/日本古代史の闇―神武の驚くべき正体 (5次元文庫)  天孫降臨/日本古代史の闇―神武の驚くべき正体

な、なんだってー!

本の内容から、そんな某漫画の決まり文句が浮かんでくる……

いわゆる歴史解明な、夢か真実か幻かなあやふやな話だった。
でも妙な説得力があるので、信じるのに値しないが、
心の片隅にでも置いておきたい、そんな空想理論。
読んでいてわかるが、著者は大真面目に書いているし、
色々裏づけも取っているが、ところどころテンションに流されている気がする。
持論の矛盾が出てくると、多少の誤差はとか言い出すし……
あと、ちょっと無理がありすぎるこじつけが。
これが事実なら、そりゃテンション上がるだろうし、しょうがないか。
狂信的に無知なる人々をズバズバ切り裂いてくるような語り口で、
読んでいて、ぞくぞくしたのも事実。
小説や漫画にして歴史解明ミステリーみたいにすると面白そう。
それこそM○Rで。
歴史解明でいえば、ちょっと前のだけどイリヤイッドが面白い。

と、内容に触れると本当に怪我しそうな内容だった。
タイトルと全然関係なくはないけど、
はっきりいってタイトル全然違うじゃんみたいな話ばかりで、
オカルティックでそれこそ、雑誌のムーみたいな。
旧約聖書の神と新約の神は別のものだった。
そして人類には爬虫類系の先祖と哺乳類系の先祖がいて、
その2種の最終決戦がハルマゲドンで、黙示録がウンタラカンタラ……
とても今の僕には理解できない……

理解できないが、歴史というか神話の矛盾や謎をビシビシついてくるのは興味深い。
最近の話では、ファティマの聖母やUFO、宇宙人、ダイアナ妃、ケネディなど。
色々詰め込んであって焦点がぼやけそうだけど、
爬虫類系人類の末裔ということでカバーしてある。
これが本当だったら、人類大パニック。
私は知っているのだという著者の立場が、ちょっと腹だたしかったが、
それが真実かどうかは、もうちょっとでわかる。
著者の主張でいうと2013年前後には、
爬虫類系と哺乳類系との最終戦争が起こるらしい。
ノストラダムスの悲劇再びか?(著者的に予言は9・11を指すらしいが)

あとこの文庫の5次元文庫って何?
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2008年12月27日

『悩む力』 姜尚中

悩む力 (集英社新書 444C)  悩む力

悩むってことは人間の特権だと思う。
中には、悩まずバーっと行動する人もいるかもしれないけど、
多かれ少なかれ、悩むことはあるはず。
瞬時に計算するコンピューターと違い悩みから人間臭くて良い!
……と思ってしまうのは、僕が非常に悩む性格だから。
悩んで、悩んで、その果てに突き抜けろというのが本で語られているが、
僕の場合は、悩んで悩んで、忘れちまえなのでいけない。
これは、本当にいけない。
自分のダメな部分だと思う。
悩みごとがあり、また悩みごとが増えて、
悩むことの連発なので、いちいち全部面倒がみきれない。
前の悩みを思い出すと、何であんなに悩んでいたのか不思議になることも多い。
もちろん、昔から今に至るまで悩んでいることもあるが、
なかなか突き抜けるまでは、いかないかなぁ……

当時の僕は、大いに悩んでいたので、自己形成的な本はめったに読まないけど、
めずらしくこういった本を買ってしまった。
というのは、実はこれ2ヶ月ほど前でした買って読んだの。うん、忘れてた。
僕は自分のすぐ悩むくせが嫌い。
それでいて、悩んでいる姿はみせたくない。
悩んでいるふうだけど、そんなに真剣に悩んでないよという態度ばかり取っていて、
それでさらに、本当はこんなに悩んでいるんだと、一人でまた悩む悪循環。
悩むって何だ、悩むとは悪なのかと混乱して、
思わず手に取ったのを覚えている。

結論から言えば、僕の悩みの解消には至らない内容だったけど、
著者の言わんとすることはよくわかる。
そして、それが正しいであろうことも。
正しいのだろうけど、それを読み自分の何かが変わったというとそうでもない。
それは、僕の気概の問題なのだろうけど、
生きることも悩むことも難しいなと思った。
そして明日からもきっとまた悩んでいくんだろうと。
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2008年10月31日

『邪馬台国はどこですか? 』 鯨 統一郎

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫) 邪馬台国はどこですか?

歴史ミステリーというジャンルなんだろうけど、
完全なる卓上の上での論議。
ただ歴史の謎を飲み食いながらディスカッションしてるだけなんだけど、
これがなかなかにあなどれない。
タイトルの邪馬台国はどこですか?
という疑問には、邪馬台国は東北だと真顔で答え、
さらには岩手だと、有名な九州、畿内説を一蹴。
そんなまさかと思い読み進めると、
あながち有り得なくもないと思えてしまう、妙に説得力がある語り口に、
こちらもどんどん引き込まれてしまう。
「んな、馬鹿な!」と笑い飛ばしていたはずだが、
イメージはいつしか馬鹿話から離れられなくなり、
どんどん膨らんでゆく……
なんとも不思議な感覚に陥るのである。
という橋本直樹さんの解説がピッタリと当てはまる。

邪馬台国はどこですか?という邪馬台国論争の他にも、
後の鯨さんのタイムスリップシリーズに繋がる、
ブッダに関する「悟りを開いたのはいつですか?」
明治維新に関する「維新が起きたのはなぜですか?」
という、タイトルから図れない方向へと議論が進む内容などの、
豪華な短編6本。
個人的に好きというか驚きだったのはキリストの神秘に迫る
「奇蹟はどのようになされたのですか?」
こういう発想は今まで持ったこともなかったけど、妙に納得させられる。
同じ点では、戦国時代最大の謀叛劇「本能寺の変」を題材にした
「謀叛の動機はなんですか?」も侮りがたし。

こういう歴史ミステリーを解いていくものでは
井沢元彦さんの『逆説の日本史』を昔読んだとき、衝撃的だったけど、
こちらは、もっとフランクに読めるので、
お手軽なんだけど、なかなかに内容が濃い。
続編はもうすでに読んでしまっているのが惜しい……
他にはこのシリーズの本は出てないのかな…

関連作品感想リンク
『新・世界の七不思議』
『タイムスリップ明治維新』
『タイムスリップ釈迦如来』
posted by kakasi at 22:54 | Comment(0) | TrackBack(1) | 読書 作家別 「か行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月28日

『タイムスリップ釈迦如来』 鯨 統一郎 

タイムスリップ釈迦如来 (講談社文庫 く 56-5)  タイムスリップ釈迦如来

もはや、何がなんだかわからない……
ただ、爆笑。

鯨さんのタイムスリップシリーズ第三弾。
今度の舞台はタイトルから想像できるようインドだった。
お釈迦様ですよ、ブッダですよ。
扱うものが大きすぎるだけに、
洒落のわからない人は読まないでくださいと前書きしとかないと、
仏教徒の方々が読んだら、暴動が起きそうで怖い…
まあ僕は、普通に洒落として読みました。
しかしまあ、この発想はなかった……

最初の『タイムスリップ森鴎外』は、現代にタイムスリップということで、
何が起こるかわからずハラハラして楽しかった。
2作目の『タイムスリップ明治維新』は、
道筋こそどうなるかわからないが、大体明治維新といえばコレだろと、
なんとなく予想できるものが多かった分、
やや不満が残ったのだけど、
近作は、知らないことだらけだった分、大いに楽しめた。
でも老子とかソクラテス出てくるし、
ラストはもうギャグとしか思えない対決になるし、
すっごいバカバカしい。ちょっと引いてしまったが、
こういうアホみたいな話は嫌いじゃない。
ここまで来たら、もうとことんやっちゃえと。
ブレーキなんて知らないぜ!…みたいな。
エンターテイメントってこういうことだよなと考えてしまった。
歴史好きには、たまらないか、お怒りか、
どっちかの両極端な話だと思う。

関連作品感想リンク
『タイムスリップ森鴎外』
『タイムスリップ明治維新』
posted by kakasi at 21:39 | Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 作家別 「か行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月21日

『タイムスリップ明治維新』 鯨 統一郎

タイムスリップ明治維新 (講談社文庫)  タイムスリップ明治維新

鯨 統一郎のタイムスリップ2作目。
前回は森鴎外が現代にやってくるというものだった。
そこで鴎外がオレンジ色の髪の少女に助けられ、
元の時代に戻る方法を探すというものだったが、
今回はその鴎外を助けた少女が明治維新の始まる頃、
つまりは幕末にタイムスリップするというものだった。

どちらかと言うと、前作の方が好きなんだけど、
自分が幕末が大好きなので楽しんで読むことができた。
それにしても作者は前作でも『燃えよ剣』が出たし、
今回は『竜馬がゆく』が出てくるし司馬遼太郎好きなんだろうかな。

桂小五郎、高杉晋作、坂本竜馬、西郷隆盛、勝海舟etc……
彼らが、激動の時代を駆け抜ける
……というものとはちょっと違った趣があった。
主人公の少女の目的は、現代に戻ること。
鴎外の時は、自分を暗殺しようとした人物を判明させることが、
元の時代に戻る方法になっていた。
今回は、明治維新を起こした黒幕は誰かを探し出して、
正しい時代に進むように、自分たちが動いていくというもの。
未来からやってきたある人物が歴史を変えようとしていることを防ぐこと。
冒険譚であって謎解きのミステリー。

未来の人間が過去に行って歴史を変えてしまうというのには、
タイムパラドックスが付き物なんだけど、
この物語ではそれほど深刻でもなかった。
いや、深刻といえば深刻なんだけどそれほど切羽詰ったものとも感じられなかった。
なので、ちょこちょこ歴史を変えながら、正しい歴史の本流に乗せるという話に。
ラストでは鴎外の物語のように、やっぱり歴史は変わっている。
ありえないけど、これも一興。

おもしろき こともなき世を おもしろく

教科書通りでは面白くない。
型どおりの幕末の小説を期待していたわけでもないし、
こういった楽しみかたが出来るのもいいかなと思えた。

関連作品感想リンク
『タイムスリップ森鴎外』
posted by kakasi at 20:53 | Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 作家別 「か行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年10月13日

『タイムスリップ森鴎外』鯨 統一郎

タイムスリップ森鴎外 (講談社文庫) タイムスリップ森鴎外

森鴎外がタイムスリップして現代へと!?
森鴎外といったら、高瀬舟と舞姫の2作しか知らなくて、
医療と文学の人というイメージ。
現代に溶け込む鴎外がそんなイメージを改変させる。
多くの文学作品の作者やタイトルが出てきて、
ミステリーも交じり合う、文と学の物語だった。

なにごともノリと適応力と言わんばかりに、
現代に馴染んでいく鴎外が、見ていて面白かった。
この作者の作品は2作しか読んだことがないけど、
あっと驚く、とんでもミステリーを仕掛けてくれるので、
今回のタイムスリップした文豪を交えて、
独自に解釈する推理は面白かった。
まあ、絶対こんなことはありえなかっただろうけど、
一種のパラレルワールドとする考え方は、
この作者の小説を書く姿勢と通じるものだと思う。
何度も言うが、まだ2作しか読んでないけど。これで3作目だけど。
そして独自の解釈による、新たなパラレルワールドでの文学史の新たなページは、
とてもロマンに溢れたモノで、ここまで持ってきたかったんだろうなと思った。
文章力はキープ力。カタルシスはゴール力。
文と学の物語。
ここはパラダイス。誰でも本を読んでいる素敵な場所。
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2008年10月09日

『神様のパズル』 機本伸司

神様のパズル (ハルキ文庫)  神様のパズル

小さい頃から理解できないことばっかりだった。
理系の話は、昔からわからないことだらけで大嫌いだった。
あまり鮮明に覚えていないが、理科の授業の中で、
ある現象に対する解説がされていたが、これは決まっていることだと言う。
そういう方程式のようなことばかりを聞かされて、
なぜ、そういった方程式が成り立つのか不思議でたまらなかった。
それらの疑問を先生に言ってみたら、そういうものなのだよと教えられた。
今考えると、突き詰めていけばわかることなのかもしれないが、
とんでもなく難しいことを聞いていたのだと思う。
でも、僕は結局現象のことばかりを覚え、その理由はわからないきりで、
わからないから、理系という分野を嫌いになってしまった。

神様のパズルを読むと、そのことが思い出された。
それと同時に、知ることを諦めてしまった悔しさを思い知った。
たぶん、僕のわからないことは、突き詰めると、
神様という存在にぶち当たり、神の問題集を解くようなもの。
そう思い出した、なぜ生物が生まれたのか。
生命を構築する物質は、どうやって体に成り立ったのか。
宇宙はなぜ起こったのか。
それこそ、神様のパズルを解くようなもの。

この本は、理系の青春小説のようなものだったが、
僕の長年の疑問にある意味、答えてくれていた。
単なる理系の話だったら、僕はわけわからないで終わっていたと思う。
ただ、青春小説であり、人間ドラマだったから、
僕が生きていく上でのこの神様の複雑極まりないパズルを、
答えこそくれないものの、これでいいのだと言ってくれるものが見られた。
わからないことは山ほどある。ただ人生わからないことだらけだ。
本当のことをわかりえることの方が少ないかもしれない。
もし、知りうることができたら、僕の世界はどうなるのだろう。
大きく広がるのか、それともちっぽけなものだと思うようになるのか。
もし、神様がいるのなら、こんな不思議な世界を作ってくれてありがとうと言いたい。
世の中、わからない不思議なことばかりで、思うようにいかないので
楽しく、学ぶことが出来て、面白いものになっているようだ。
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2008年10月03日

『ヴァルプルギスの後悔 Fire1』上遠野浩平  

ヴァルプルギスの後悔 Fire1. (1) (電撃文庫 か 7-22) ヴァルプルギスの後悔 Fire1

読んだのは、発売間もない頃だったのに、
なぜ今頃ブログで感想書いているかわからないkakasiです。

炎の魔女の物語が語られて、物語は加速する。
読み終えた後、そんなイメージが浮かんだのをよく覚えている。
これまで、ゆっくりと時計の針のように刻まれてきた物語が、
超加速されて、収束されてきているようだった。

とはいえ、ブギーポップという物語はライフワークのように続いていくのかもしれない。
でも、ブギーポップの世界が、あきらかに変わり始めたように思える。
これまで幾重に覆われていたものが、少しずつ露になっていく。
それに、昔やっていた『ビートのディシプリン』と物語がリンクしている。
そういえば、どこかで読んだ気がすると思い、
過去の作品をパラパラめくっていると、このためのと思えるエピソードが、
ビートのディシプリンから、多く見られた。
まあそういう話をすると、過去のブギーポップシリーズからも、
このための布石と思えるエピソードが幾つもあるのだけど。
読み手として、とてもうれしい試みでもあり、
ずいぶんと時間をかけてくれたなと憎らしくもある。
上遠野さん、僕もずいぶん年をくってしまいました……
そのせいか、最初のページに記してあった、懐かしい話。
クロダさんとの会話ですでに涙が出そうだった。

ブギーポップシリーズのある意味主役とも呼んでいい活躍の
炎の魔女こと霧間凪の物語である今作。
この本にファイル1とあるように、物語はまだまだ続いていくようだ。
タイトルのヴァルプルギスというのは、
ヴァルプルギスの夜をモチーフにしたもののようで、
wiki知識によると、ドイツでは「魔女の夜」という意味合いを持つらしい。
話がでっかくなってきたと思ったが、
よくよく考えてみると、一番最初の『ブギーポップは笑わない』から、
物語は、とんでもなく大きいものだったと思い出して、
今更何を驚くことがあるんだろうなと感じてしまった。


関連作品感想リンク
『ビートのディシプリンSIDE4』
『オルフェの方舟―ブギーポップ・イントレランス』
『酸素は鏡に映らない (MYSTERY LAND)』
『ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド』
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2008年08月18日

『なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?』 岸本裕紀子

なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか? (講談社+α新書 364-1C)なぜ若者は「半径1m以内」で生活したがるのか?

半径1mの自分の城に篭ろうとしたけど、
あえなく断念して、200km離れたとこで生きてますなkakasiです。

ブログの更新がパタリと止まってしまったが、
あいも変わらず本は読んでいる。
ただ、頭の中がごちゃごちゃして、
再び悩みの時期に入ってしまったため、
自分の意見をまとめるのなんて無理なのですよー
こんな意見も何もない、ノートへの走り書きみたいなブログでも、
頭の中を字にしようとすると、負のスパイラル。
まだ、仕事してる時の方が元気。

とのことなので、新書を読んだのに、たいしたことは書けない。
ただ、自分の快適な空間で、自分なりに楽しく過ごしたい。
本に書いてあった、若者のそんな意識は僕にも当てはまる。
ただ、それだけじゃ生きていけないわけで。
理想と現実は違う。
若者だって、それだけでやっていけるわけないって、わかってる。
ただ、自由ってものが、多くの所にころがっている。
快適な空間が近くで用意されている。誘惑が多い。
努力も報われない、才能がないと、自分に向いていない。

そんなこんなで、こじんまりと生きていくことを選んでしまう。
だって、楽だから。身の丈にあっているから。
でも、ふとこのままでいいのかとやっぱり自問自答。頭が痛い。
テレビを見れば、社会的敗者のニュース。
そんな風にはなりたくない。
でも、誰がこの人たちを負け組みと決めた?再び、自問自答。
結局は、自分の快適な生活空間を持つことが救いだと思う。
半径1mは、救いなんだと思う。
適度で、楽しい、快適な生活の場。
大きな夢は見なくても、楽しい。
小さな夢なら、あちこちで見つかる。
でも、だけど……

悩みながら若者は生きているわけで。
半径1mに留まるものもいれば、そこから飛び出す者もいる。
どちらにしても、人それぞれだ。
僕? 僕は、まだまだわからない。
ただ、目の前のことで精一杯です。
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2008年06月24日

『誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡』 木村元彦

誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡

愛知の大学に通っていながらも、グランパスは好きじゃなかった。
ドラゴンズ嫌いといったら問題だけど、
グランパス嫌いと言ってもあんまり、問題じゃなかった。
というか、ジュビロ好きで通していたから。

でも、ピクシーことストイコビッチは好きだった。
見ていてとても華があった。
敵ながらあっぱれとはこのこと。
今年は監督としてグランパスに降り立ったピクシー。
ほんの気まぐれに、昔好きだった選手の本を読んでみることにした。

この本は、サッカー選手ストイコビッチのことを書いてあるようで、
実は、祖国を愛するストイコビッチのことを書いてあるのかもしれない。
ユーゴのセルビアの一人間としてのドキュメントという趣が強い。
そういえば、去年読んだ『オシムの言葉』もこういう形だった。
よくよく見てみると、作者が同じだ。偶然なんかじゃない。

Jリーガーとしてのピクシーの記述は浅かったが、
それでも、ピクシーが日本を愛していたことが伝わってきた。
そして、それ以上に祖国を愛していることも。

当時のユーゴ、セルビアに関して僕が言えるようなことなど一つもない。
というか、言う資格なんてない。
まるで何も知らないと同じだから。
でも、これだけはわかる。
当時のセルビアの人たちにとってピクシーは英雄だったのだと。
これは、ピクシーが長く日本にいてくれたからそう思いたいだけかもしれない。
でも、あんなにファンタスティックな選手は、きっと愛されるはず。

日本にいてくれたから……と思うのは、
僕にも潜在的にナショナリズムが染み付いているのかもしれない。
いや、たぶん違う。
世界と比べ、日本という多少身近に感じられる距離にいたから、
愛着があるだけなのだろう。
僕には、ピクシーのような愛国心は持っていない。
教育基本法で、本当の愛国心が養われるかどうか知らないが、
日本という国に関心が薄いのは問題かもしれない。
でも、日本が分断するようなことがあれば心が痛む。
日本の中でいくつかのカテゴリに別れ、殺しあうことがあれば悲観する。
色々問題はあるけど、僕は日本が好き。
そのわけは、自分がいて、色んな出会ってきた人が大勢いて
多くのたどってきた場所があるから。
それだけで十分だと思うし、それ以上なんかないと思う。
好きな人たちが、そこで生きているから。
僕には、プライドなんて大層なものは持ち合わせていない。
でみ、さっき上げた多くのものが支えている。

稀代のファンタジスタ、妖精ストイコビッチを通じて、
あんまりサッカーと関係ないけど、色々なことを思った。

関連作品感想リンク
『オシムの言葉』
posted by kakasi at 20:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「か行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年03月18日

『風に吹かれている場合じゃない』 黒田としひろ

風に吹かれている場合じゃない風に吹かれている場合じゃない

なんだか泣けてくる、おもわず泣けてくる
ブログを書き始めた瞬間、
CMから流れてきたのはウルフルズの「泣けてくる」
最近この曲には、胸を締め付けられるような気分にさせられる。
そんなウルフルズ、ライブは5人だが、基本は4人のバンド。
でも一時期、3人組みのバンドでもあった。4→3→4との経緯。
ウルフルズには、一度辞めて、また戻ってきたベーシストがいる。
ジョン・B・チョッパーこと、黒田としひろ。
この本は、その彼の空白の4年の記録。
いや、黒田としひろという人間の、日常だ。

元ミュージシャンだけど、だからどうだというエッセイではない。
でも毎回、古今東西の音楽についても触れているところに、
元ミュージシャンの名残が見える。
後半、ウルフルズ復帰ということが固まってきたからか、
ウルフルズに関しても書いてあることが、嬉しい。
だといって、全体的にウルフルズのことを押し出した文章ではなく、
あくまで黒田としひろの、日常エッセイになっている。
とにかく毎日が恐ろしいほどに暇だった
特別何かあるわけでもない。ごく平凡な日記。
でも復帰直後の、メディアでの発言とか、
ウルフルズの連載ブログ『芸の花道』を読んでいると、
(→ウルフルズ連載ブログ 『芸の花道』
ジョンBがすごく悩んでいたことが、よくわかる。
そして、復帰することでの喜びというか、吹っ切れ。
風にふかれている場合じゃないと。
だからか、胸を打つものがある。
今思うと「ウルフルズ」が好きだから良いのだ。
悩むことではないし、「悩むこと」
なんてなにもない――――

あとがきに、こんな言葉があった。
メインとなるエッセイ部分で、ウルフルズ脱退・復帰に関しては、
ほとんど触れていない。
あとがきで、ようやく書いてあるくらい。
エッセイなのだけど、やっぱりウルフルズファンには、
このあとがきが一番印象強い。
ジョンBからしてみれば、そんなもんなのかなと思うかもしれないが、
ファンにとっても、ウルフルズが好きだからしょうがないのだ。
結局のところ、ファン、
そしてウルフルズのベーシスト黒田としひろも、
ウルフルズが大好きなのだということが、よくわかった。

そうそう、明日は僕の大学の卒業式だ。
もう学生では無くなる。
それこそ、風に吹かれている場合じゃない。
やってやるぞ。
posted by kakasi at 00:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「か行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年02月12日

『ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド 』上遠野浩平

ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド (電撃文庫 か 7-21)ブギーポップ・クエスチョン沈黙ピラミッド

久しぶりのブギーポップ本編なわけなのだけど、
まるで進展していない・・・
完結させる気などなく、ライフワーク的なものとして続けるのだろうか。
そうだとしたら、新しい読者を開拓しないと、
こういう分野の小説ではきついのでは?
昔から読んでた僕でも、そろそろ続けるのが危うい。
それとも『酸素は鏡に映らない』で、
けっこう新しいファン層を得たのかな。
酸素はなかなかおもしろかった。

と、話は進まなくて、時間列的にはシリーズ2作目の
イマジネーター辺りなわけなのだけど、
これが、久しぶりにブギーポップ本編でおもしろいと思えた。
前作の『オルフェの方舟』で、
最近、満足できないと僕は言っていたけど、
今回は、おもしろかったし、印象に残る。
ヒドイ事を言うけど、前の2作ほどはあまり憶えていない。
そう考えると、今回は物語は進まなくて、
まさにピラミッドの中二階で足踏みしているような話だけど、
そこを広く見渡すと、これがおもしろい。

『パンドラ』が、かもし出した雰囲気にとても似ている。
まぶしかったのを、今でも憶えている。
はっきりと、昨日のことのように脳裏に刻まれたままだ
今作のエピローグでこんな言葉がある。
友情のようなという、曖昧ではあるけど、
確かに絆のようなものがあって、日常が輝いていた話。
『パンドラ』は僕が、ブギーポップの中では、
かなり好きな話の一つ。
あの頃からブギーポップの世界に囚われている。

僕は、初めてブギーポップを読んだ時からだいぶ時間が過ぎた。
だというのに、ブギーポップは若返るばかり。
表紙の絵なんて、どこの幼女かと思えてしまった。
僕らが、年をとって、おっさんになっていっても、
ブギーポップのキャラたちは、あいも変わらず、
若いままで動き回っているんだろうか。
やっぱり、若い内にこういう話は読んでおきたいので、
語られぬもの、巨大な謎として残らないように完結してもらいたい。
沈黙されたままで、終わらせて欲しくなんてない。
posted by kakasi at 13:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「か行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月31日

『新・世界の七不思議』 鯨 統一郎

新・世界の七不思議 (創元推理文庫)新・世界の七不思議

世界の七不思議とは、約2000年前、
ギリシアの数学者にて旅行者だと言われている
フィロンが提案したものが有名なものだ。

しかし、七不思議とは古くから色々な人によって、
色々定められていたという。
道理で、僕の知っていたのと違うものが多いわけだ。
そして昨年には、スイスの民間団体がインターネットの投票で、
新・世界の七不思議を定めた。
日本からも清水寺がノミネートされていたので評判になった記憶がある。
まあ、世界の七不思議に清水寺は地味な気もしたもので
やっぱり落選はしていたが。
今年で言うと、たけしの新・世界七不思議
という番組がテレビでやっていた。
僕も録画しておいて見たが、七不思議という言葉には、
どうにも惹かれてしまう。


この本は、昨年選ばれた新・世界の七不思議ではない。
それなら俺が考えようと、作者が決めた七不思議。

アトランティス大陸の不思議
ストーンヘイジの不思議
ピラミッドの不思議
ノアの方舟の不思議
始皇帝の不思議
ナスカの地上絵の不思議
モアイ像の不思議

一店のバーの卓上にて交わされる議論のみで、
この小説は成り立っている。
現地に赴いてとか、そういうことは一切なく、
カクテルを飲みながら、美味しそうな料理を肴に語り合う。

無知の知という言葉がぴったりくる。
まったく世界史に無知な宮田という人物が、
変な先入観なしに、七不思議の解明するさまは、
とても痛快だ。
どれも正解ではないのだろうし、
とんでも本に思える人も間違いなくでるだろう。
だけど、こういう考え方も悪くないし、
それなりの説明もあるので、なるほどと思える。

参考文献に、様々な歴史関連の文献が載っていたが、
最後の一冊だけ、
『ドカンと、うまいつまみ』 小林ケンタロウ
というのが、ちょっと笑えた。


posted by kakasi at 23:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「か行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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