2007年09月11日

『図書館内乱』 有川 浩

図書館内乱 図書館内乱

今度は、内乱だ!!
どんな組織でも、一枚岩ってわけじゃないということ。
内部にも外部にも正義が、山ほど存在しているということか。

今作は、前作の主人公、笠原郁がもちろん主役だけど、
5つの章で構成されていて、他のキャラの出番が多い。
それぞれの章で、語り部というか主人公を他キャラがしていて、
ぜひ、彼らの物語を除いてくださいと言えるような本だった。
1が主人公の話で2,3,4が他のキャラで、
5で再び主人公というか、この物語の本筋の話に。
2,3,4で、より明確に描かれた他の人物の話があり、
5に進み、人物の魅力がますます増して、再登場と行った感じ。
漫画みたいだ。

図書館側と、良化「査問」委員会という対立の大前提に加え、
図書館内でも、2つの派閥の対立。
現実の世界にも、言えるが、
こう、ごちゃごちゃしてくると、正義が一つだけだとわかるなら
どんなに、楽かと思うが、やっぱり人の数ほどあるんだろう。
そして、例えこの主人公側が悪だと決められても、
この人たちは、必死に本を守るんだろう。
正義とかより、自分の信じたもの、大好きなもののため。

ついでに、表紙に小さいが『レインツリーの国』が出ている。
この本の内容にも、関わってきている重要アイテムだけど、
実際に、この本は、『図書館内乱』が出て後に、刊行されている。
以前、この本を読んだことがあると、感慨深い。

それにしても、amazonの商品説明に書いてある、
行政戦隊図書レンジャーって……
まあ、おもしろいけどね。

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2007年09月03日

『ビーナスブレンド』 麻生哲郎

ビーナスブレンド ビーナスブレンド


岡山―島根―鳥取、の旅も終えて、自宅でまったりとブログ中。
旅行記は、いずれブログにでも載せるとして、久しぶりの、読書感想文。

「ビーナスブレンド」
それは、この小説のタイトルであり、コーヒーの名前であり、
映画「ホテルビーナス」のノベライズ版である。
映画の脚本家が、そのまま小説に仕立て上げたのが、この本。

僕は、映画のホテルビーナスをけっこう気に入っていたが、
忘れかけてきた今日このごろ、本を見つけたので読んでみることにした。

内容としては、映画とだいたいは同じわけなのだが、
映画より、ゆったりとした印象を受けた。
それは、自分のペースで物語を進めていけるということもあるが、
文章が、優しくて、静かな印象を受けるということもある。

思ったより、チョナンが演じていた人物(この本ではカンという名)が、
目立ってはいないが、語り部として全体をまとめていて、
ホテルビーナスの住人達の物語という印象が、強く出ている気がする。
何かしら、心に痛みを負ってしまった人々の、優しい再生の物語。

本の中で、このホテルの住人たちの時間は、
止まってしまっているように語られているが、
読み終えてみると、完全に静止しているのでなく、
本当にゆっくりだけど、少しずつ動いているんだなと思えた。
だって、彼らは生きているんだから。
死んでいるようにだとしても、生きているんだから。
少しずつ動き始めて、やがてこのホテルから飛び立つ時が来るんだろう。

映画だと、洗濯物が風に揺れるシーンをよく思い出すのだけど、
このホテルは風が流れているのだと、今感じている。
傷ついた鳥たちが、ゆっくり羽を休めて、
いつか、この風に乗り、いずれ飛んでいく場所が、
このホテルビーナスだと思う。
そう考えると、やっぱり優しい気分になれる。
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2007年08月27日

『サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ』 大崎 梢

サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ サイン会はいかが?―成風堂書店事件メモ

今日は、岡山県の書店にビックリ。
書店のポップもたくさんで、ラミネでカバーしてあるし、
本の数が、ものすごい!
ちくま文庫なども、ほぼそろえてあるし、
個人的に大好きな、クラフトエヴィング作品の
クラウドコレクターの文庫版が6冊も。

この店、フタバ図書は初めてだったし、
この岡山店は、開いて一週間なので、気合が入っていた。
しかも、市の中心からちょっと離れた場所で、
この蔵書数には参りました。
東京とかの大型店に行ったことがないので、新鮮に思えた。

そういう店もあれば、僕のバイトしてた所というか、
全国どこでもあるような、地域の書店もある。
でも、そこはそこで、お客さんのニーズとか色々研究して
限られた量の本の仕入れをしたり楽しみがある。
まあ、何がいいたいかというと、やっぱり本屋はいいとこだ。

そして、本屋はいいとこと教えてくれるのが、
この成風堂書店シリーズ。
今回は、このシリーズの1作目に近い感じで、
まさに、本屋の小説。
なんとも、おもしろみのある書店員の話。

本屋は、地味な作業も多いし、色々仕事のトラブルもあるし、
でも、本を売るための仕事は、とてもおもしろい。
お客さんの求める、一冊の本で色々なドラマが起こる。
書店というのは、実はミステリーの宝庫なのかもしれない。
そんな本屋のミステリーを、たくさんのエピソードで語る。
今回も、本屋が、ますます好きになってしまういい話だった。


そうそう、kakasiは現在旅に出てます。車でですが。
気ままに、色々な所を巡って、ついでに本屋も巡って。
行き当たりばったりの、特に何も決めず、フラフラと。
今日は、愛知から、岡山までほとんど運転で終わったけど、
明日はもっと何か、巡りたい。
歴史好きなので、古い建物がいいかな。
明日は、岡山で桃太郎関連をまわって、島根というか出雲の予定。



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2007年08月22日

『晩夏に捧ぐ 成風堂書店事件メモ(出張編)』 大崎梢

晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編> (ミステリ・フロンティア)晩夏に捧ぐ<成風堂書店事件メモ・出張編>

『配達あかずきん』という作者の前作の続編。
前作は短編方式で、本屋のありふれた日常や、そこに関わる謎、
また、もの珍しい本屋に関わる不思議や事件を扱っていたが、
今回は、長編で前作より、ミステリーらしいミステリー。

でも、どちらかというと前作のほうが好みではある。
それは僕が、このシリーズには本屋であるということを
もっと魅せて欲しかったからだ。

この続編の『サイン会はいかが?』も読み途中で、
というか、もうあとほんの少しで読了だけど、
その3作目も、本屋を主人公としたといっていいくらい、
本屋を表に出しているので、そこがたまらなく好き。

とはいえ、普通のミステリーとしては、おもしろい。
本屋のことも、たくさん書いているのだけど、
どうしても事件のことばかりに目が奪われて、
本屋であるということを、忘れそうになってしまった。
でも、本屋の部分が出てくると、すごい興味津々になり、
本屋好き、本好きの人物の本に関する考えを読むと、
ものすごいそれわかる!
と、やっぱり今回も本屋好きにはうれしい作品だった。
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2007年07月22日

『守護天使』 上村佑

守護天使 守護天使

主人公の境遇に、悲しくなったり、笑ったり、キモがったり。
まあ、普通じゃない。
とはいえ、物語の大筋的には、ないことはない恋愛小説。
一方的な恋だけど、ヒロインのピンチには訪れるヒーロー、守護天使。
この彼が、ドタバタして、スピーディーな話の展開の主役を張る。

でも、主人公が、若者でもなければ、
おじさより、おっさんという表現が似合う人物。
そして、強烈なインパクトのおっさんなので、
好き嫌いは、別れると思う。
なんたって、ハゲでデブでチビなうえ、半ストーカーなのだから。
だから普通に、かっこよさを求めたりしてはいけない。
だけど、電車男が評価されるご時勢なので、
こんな、恋愛小説もアリかもしれないかなと思う。

ハラハラ心配しながらも、最後まで楽しく読めたし、
中年男性の心意気を見せてもらえたと思う。
なんだかんだで、幸せになってもらいたい。



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2007年06月11日

『失はれる物語』 乙一

失はれる物語

この前読んでいた『ZOO』とは打って変わって。
タイトルと表紙から、少し連想できたように、ホラーではなく
儚げで、幻想的で、美しく、ロマンチックに。
この作品も短編集で、

Calling You
失はれる物語

手を握る泥棒の物語
しあわせは子猫のかたち
ボクの賢いパンツくん
マリアの指
ウソカノ

特にお気に入りは「しあわせは子猫のかたち」
簡単に言えば、自分の世界に閉じこもっているような
学生の男と幽霊の話で、どこかで聞いたような話でもあるのだけど
物語の雰囲気が好きで、優しくて、幸せに満ちている。
でも、絶対的な別れが感じられて、その間の日常が、
とてもすごく好きになれた。

「Calling You」と「傷」は以前読んだことがあったけど、
改めて読むと、やっぱりいい話だなって思った。
昔これが収録されていた本を売った自分に、何故にと問いたい。

タイトルでもある「失はれる物語」は、
とても残酷で辛い話ではあるけど、優しくも感じられた。
『ジョニーは戦場に行った』のような植物人間になってしまう話だが、
ジョニーよりかは、絶望感、悲壮感は無く、
安心して読めたというと嘘になるけど、だいぶ自分の心は楽だった。

総じては、乙一という人は、想像力に溢れていて、
強い人というより、弱い人の心を描くのが上手いと思った。
何が強くて、何が弱いとかは、よくわからないが、
その弱い人の心の強さを思った。
そう書くと、その弱い人とは強い人ではないかと思うが、
なんて言えばいいのだろう。
マイノリティとなるのか、世間的に軽く扱われているとなるのか、
よくわからないが、とにかくそんな風に感じられた。




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2007年06月04日

『配達あかずきん』 大崎梢

配達あかずきん (ミステリ・フロンティア) 配達あかずきん

元書店員が描く、書店ミステリーだということ。
バイトとはいえ、元書店員としてはとびつく魅力が充分すぎた。
読んでいると、バイトしてたころを思い出す。
あるある、的なこともそこかしこに。
人殺しとか、そういうミステリーではないけど、
ちゃんとミステリーしてて、上手い具合に書店が絡んでいる。

そして本編と同じくらいといったら、いけないけれど
あとがきの「書店のことは書店員に聞け」
という本編の内容も交えた対談も、すごいおもしろかった。
似たような出来事や愚痴を、僕も聞いた気がしてならない。
そしてそれは、本編にも言えることで、
書店の人の心を、みごとに掴んでいて、
書店の人で無い人にも、こんなことしてるんだよって、
こんな苦労や、楽しみもあるんだよって、伝えられていると思った。

普通にミステリーとしても読んでもいいし、
人物のドラマでも良し、書店の裏事情を知るのでも良し、
一冊で二度も三度も美味しいという本だった。
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2007年05月31日

『ZOO(2)』 乙一

ZOO〈2〉 (集英社文庫) ZOO〈2〉

こうして乙一さんの短編集『ZOO(2)』も読み終えて
1巻と合わせて考えると、やっぱり
「なんなんだこれは」にぶち当たる。

「血液を探せ!」
「冷たい森の白い家」
「closet」
「神の言葉」
「落ちる飛行機の中で」
「むかし夕日の公園で」

1巻以上に、バラエティに富んでいて、
個人的には、2巻の方が好み。

最後の話がそうだったせいか、少し、しっとりと
黄昏時にでも読むのに、ふさわしいとうに感じられた。

黄昏時なだけに、前は明るい画面かと思えば、
暮れてしまえば、暗黒がやってくる。
パッと場面、場面で世界が変わるようなバラエティさ。
物語にがっちり捕まえられて、最後まで連れてかれる。
だけど、掴んでいたと思ったら、パッと手を離されてしまい、
一人ぼっちで、途方にくれてしまう寂しさ。
夢を見ていたかと思うような、その夢を切り取ったような
おぼろげな話のイメージがあった。
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2007年05月22日

『ZOO(1)』 乙一

ZOO〈1〉 (集英社文庫) ZOO〈1〉

乙一さんの作品は、大学入ったばかりのころ、
つまりは、3年前以来。
『きみにしか聞こえない―CALLING YOU』を読んだのが最初で、最後。
その中の「CALLING YOU」はよく覚えていて、
優しくて、切なくてというイメージが乙一さんの僕のイメージ。
だけど、この短編集は、ちょっと違った。
ジャンル分け不能とうたわれているようで、バラエティに富んでいる。
でも、一言でどう表そうと考えると
現代の童話と答える。
童話というのは、どれも実は残酷なものだったりする。
それに、この短編たちはどれもちょっと奇妙なものばかり。
奇妙な童話たち。
もしかしたら、世にも奇妙な物語というのがぴったりかもしれない。

「カザリとヨーコ」
「SEVEN ROOMS」
「So-far そ・ふぁー」
「陽だまりの詩」
「ZOO」

どの作品も、それぞれ違った趣があるが。
根底には、小学校くらいの時によく聞いて恐怖した、
怪談話のような、おどろおどろしさがあった。
あの角には、何かがいる。
あの闇には、何かが潜んでいる。
得体の知れない、何かがあるのではないかという。

そして主人公には、得たいの知れない何かが迫っている。
主人公は特別強くもなく、
どちらかというと読んでいて守ってあげたくなるのだけど
読み進んでいると、得体の知れない何かとは、
主人公の内面にあると、僕は感じていった。
う〜ん、ホラーだ。そしてファンタジー。

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2007年05月08日

『盗作(上・下)』 飯田譲治 梓 河人

盗作(上) 盗作(下) 盗作


お久しぶりであります。
ブログ始めて以来の、長期中断、中断、挫折、etc,etc.
これから復活とまではいかないかもしれないけど、
まあ、ちょっとは落ち着いたってところです。
そんなこんなで、久しぶりの読書記録を残すことに、
ブログ更新してない時も、ちょくちょく読んでいたので、
そちらも、徐々に載せていくことに。

この本は、昨日読み終えたというか、
一日で上下巻、一気読み。
飯田譲治、梓河人のもはや、スピリチュアル作品。
昔このコンビが出した『アナン』の世界感。
というか、アナンも登場している。
作者達のアナンへの愛も感じられた。

盗作というテーマは、たぶんミステリーなんかだと
よく使われるテーマなんだと思う。
だけど、この作品では、誰がマネたとかそんなことは関係ない。
もっと精神的なもので、梓さんが言うならば
ビッグスピリットというものだろうか。

物語は、平凡すぎる少女の一生。
だけど、『嫌われ松子の一生』のように、
平凡な人生は、波乱万丈に移り変わる。
読んでいて最初は、思ってたより出来すぎていて、大げさで
荒唐無稽な話に見えてしまい、
どうなんだろうって疑問でいっぱいだったけど、
少しずつ、でも確かに引き込まれていった。
アナンを読んでいたとき、あの窓に吸い込まれていったように。

“いのち”の光、芸術、創作。
僕には、芸術とか、そういうことはちんぷんかんぷんで、
まるでわかってないし、何かを生み出すのに、
どれだけ苦労があったかもわからない。
だけど、何かに夢中になって、
自分でも信じられないことができてということはある。
そんな瞬間は、あんまり覚えてないような
でも実は、ちゃんと覚えているような、不思議な感覚。
もう一度、やれと言われてもできないのだけど、
いつかまた、同じようなことが起きてくれるんじゃないかと
願いやまないそんな感覚。
そのように創られた、作品を見てみたい。


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2007年04月07日

『レインツリーの国』 有川 浩

レインツリーの国 レインツリーの国

例えば、1冊の本を、100人の人が読んだとする。
その読み方は、100通りあって、
100通りの感想があって良いと思う。

1冊の本を、ある男は、主人公の男の視点から読み、
ある女はヒロインの視点から読んだ。
どんなものだって見方や、受け取り方は、千差万別なんだろう。
たぶん、この本もたくさんの感じ方があるのだろう。
そして僕は、この本の感想を書いている。
世界で唯一、何も負担に思わずに、
誰にも引け目なく、振舞えるあの国のように。

今回僕は、ヒロインの視点に立って読んでいた。
僕自身、弱い人間であるし、
まあ、基本的にフェミニストなので。
主人公には、言いすぎだぞって、思えるところもしばしば。
でも、気持ちもわかるところもある。
僕は、ふらふらと主体性のない
カメレオンみたいなとこがあるから、
こう気持ちがブレない人が、羨ましく、強いなって思う。

そして、主人公とヒロイン。二人の関係を
絶対にやりたくないし、認めたくないのだけど、
正しいんだろうなって思えた。
なにかを掴み取るためには、痛みを伴わなければいけない。
逃げちゃダメだってこと。

二人で、手探りで歩いていこうとする。
すごい、かっこよかった。
受け止め方は、たくさんあっていいのだけど、
そこから学び、前進しなければ。
本当に、大事だと思うことなら、なおさら。
大事なものが、このレインツリーの国に詰まっている。
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2007年03月29日

『羅生門・鼻』 芥川龍之介

羅生門・鼻 羅生門・鼻

そういえば、古典だけは成績が悪かったなって、思い出した。
文体とリズム。
自分には、文体と文章リズムが非常に合わない。
いや、合わない以前に、語句の意味がわかってない。
だから、わからない語句があるたび、
後ろの脚注開いて、本文戻って、開いて、戻って……
はっはっー、物語が頭に入らない。
こういう思いをすると、昔授業で、本文読む前にノートへ、
わからない語句とその意味を調べ書いていたことって、
かなり意味があったんだなって、実感した。

この本は、芥川の作品の王朝物と呼ばれる、
平安時代を舞台にした短編集。
だから、上記のように思ったわけ。
とはいえ、本当にわけがわからなかったのは「俊寛」くらいで
他は、以外なほど、楽しめて読めた。
ユーモアがある作品が多い。
ちなみに、実は全ての作品が、初読。
鼻と芋粥は、どこかで聴いたことがあるくらい。

「羅生門」は、楽しく読む、と言えなく、
人間の純粋過ぎさか、汚さか、
個人のパーソナリティより、環境の力なのか、
と、色々考えさせられるものだった。



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2007年03月22日

『シュレーディンガーの猫―パラドックスを生きる』 小倉千加子

シュレーディンガーの猫―パラドックスを生きるシュレーディンガーの猫―パラドックスを生きる

タイトルだけで、なんとなく読み進めたのだけど、
かなりイメージと違い、女性観でいっぱいのエッセイ集だった。
女性学、心理学、社会学という印象を受けた。

男の視点から見ると、手痛いなと感じるけど、
わからないでもない。
わからないでも、ないというのは、
そういうところも、なくはないからだ。
だけど、それが絶対だなんて思えないし、
そんな人ばかりでない。
それこそステレオタイプな意見だとも思える。
だけど、やっぱりそういう部分もあるのだ。
誰にだって、矛盾する気持ちが自分の中で渦巻いているはず。
そういう意味では、多くの人が
心の中でパラドックスを抱いているのだろう。
そうそうわかるはずなんかない。わかってたまるか。

とはいえ、そんなわかりっこないことを考えていくことが
僕は、けっこう好きだったりする。
答えなんかなくたって、考え続けることが意義があると思う。

それと、気になった部分があった。
男は、「一次愛」つまり母なる愛を、
大人になってから埋めるためには、
ママさんのいる酒場に行けばいいが、
女性には、そういう場所がない、と言う。
母のようなオフジェが存在していないと。
それを埋めるため、対象を持てばいいと言っていた。
その中にあったのが、ペット。
それは、完全なる愛玩用のオブジェだという。

正直、それは男にだってわかるし、確かに心の隙間を
埋めてくれるのに、最適だと思う。
でも、生き物を飼うということは、
そんな、勝手な理由であってはいけないと思う。
今日、動物たちがひどい目にあっている現実を見せられた。
動物への非道な実験、虐待、捨てられたペット。
駅前でそんな資料が展示されていて、
小さな子供から、若い学生、老人まで
みんなが、それぞれの思いで、写真を眺めていた。

動物への実験で、人間への技術は生まれるだろう。
ペットを飼うことで、人間の心は満たされるだろう。
動物は、言葉を語らない。
人間に、動物の気持ちはわからない。
人間でも、動物でも、生き物と接するなら
最低限のマナーくらい守って欲しいと感じた。
そして、それがわからない人達が、確かに存在している。

だけど、僕らはずっと昔から動物へ、
自分達が生きるために、彼らを殺して食べている。
ペットを捨てることに関しては、
それ相応の理由があった人もいるだろう。
そう考えてしまう僕には、
ただ非難することはできないかもしれない。
生きていくうえで、そんな心の矛盾が付いて回る。

ずっと罪を抱えながらも、少しでも優しくなりたい。
偽善者と罵られたとしても、
優しい気持ちを持てる人たちがいて欲しい。
そして、僕もそうありたい
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2007年01月11日

『冒険入りタイム・カプセル』 赤川次郎

冒険入りタイム・カプセル 冒険入りタイム・カプセル

きっかけは、父親たちが埋めた30年前のタイム・カプセル。
こういうのけっこう好きです、ロマンを感じる。

赤川次郎は、昔読んだことがあるような気がするけど
たぶん気のせいなので、初読……だと思う。
これだけ有名で、大量に本を出している人なので
自分でも初読というのは、以外と言えば以外。
ミステリーだけど、冒険と名が付いているだけあって
ワクワクさせられる部分もあり、どうなるか気になり
あっという間に、読み終えれた。
ホントに読みやすい作品だった。

主人公は女子高校生。
その父親が、30年前にタイム・カプセルを埋めており
それがきっかけで事件がおこってしまう。
登場人物も、その事件の関係者ばかりで、まさに、主人公へ
このタイム・カプセルが冒険、いや事件を運んできたとしか思えない。
普通に考えれば、この上なく迷惑なわけだけど。

なかなか読みやすく、おもしろかった。
でも、冒険入りなんて、どれだけ事件を良い方向に捕らえているだろう。
posted by kakasi at 12:14 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「あ行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月20日

『八月の路上に捨てる』 伊藤たかみ

八月の路上に捨てる 八月の路上に捨てる


今年の八月なんて路上に捨ててしまいたいことばっかり。
それでもこう思い返すと、色々やったし楽しかったのかな〜と。
夏は色々なことに本気になれるので。

久しぶりに小説を読みきりました。
この頃途中で挫折してしまったり、
『竜馬がゆく』を読んでるので、
なかなか読み終えれない。ブログに載せれない。
ということで箸やすめのような感じで、
読んでみました。芥川賞受賞作。
すごい、あっさり読めた。一時間かかったかどうかくらいで。
竜馬は、現在6巻目に突入です。


夏は一番好きな季節で、八月といえばその真っただ中。
あっち〜な、ダルイな〜と思いながらも
なぜかパワーが出てくる。

この物語から、そんなこととは無縁な感じを受けた。
夏といえば、どこか寂しげな喪失感もある。
小さなことも、大きな出来事も
色々あるけど、夏が過ぎれば終わってしまうというような。
一年で、一番不思議な季節。

そんな夏で、冷めているようで温かい。
そんな、ぬるめの微妙な雰囲気。
やるせないといった表現がいいのだろうか?

頭ではわかっているけど、未練がましくて、すねたガキみたいだけど、
なにもかも本気だった
と言うように、すべて本気で取り組んだ上で
どうしようもないことだったのかもしれない。
ポイと路上に捨てれるような感情ならば、どんなに楽だろうか。
それが出来ないから、人間って難しいと感じた。
あがり目とさがり目のモヤモヤを束ねいて
残さずに捨てることは抱えるよりそれよりもねえ?
この前ライブのチケットを買えなかった
吉井和哉が昔活動していたTHE YELLOW MONKEYの「プライマル」
という曲の一節が思い浮かんだ。
実は、この曲だけ実家から持ってきた唯一のシングル。
手を振った君がなんか大人になってしまうんだ
さようならきっと好きだった

いくら本気でやったと思っても、
振り返れば、後悔ばかりが残る。
それはきっと好きだったんだろうね。

ブラブラブラ………


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2006年10月12日

『心理学って役に立つんですか?』 伊藤進

心理学って役に立つんですか?心理学って役に立つんですか?

たまには、こんな本もわるくない。

僕も大学で、やや優先して心理学系の授業を受けているけど、
一番の疑問点は、まさにコレ「心理学って役に立つんですか?」
興味があるから、おもしろそうだからというのが
習っている理由の最もな理由だけど、
生きていく上で、日常で生かせられるのか?

心理学と一口に言っても、これがなかなか深く広い。
でも、この本はそんな心理学で役に立ちそうなことを
架空の主人公の心理学者、大倉山シンノスケの日常を
描くという物語形式で、楽しく教えてくれる。
難しい論文形式のものより、簡単に読め進められる。

この本は、5つの章に別れている。
たまには涙もわるくない
悪戦苦闘もわるくない
暗いのだってわるくない
ひとの心は読めるのか
二流をいきるのもわるくない
個人的におもしろいと思ったものは、
暗いのだってわるくないと、二流に生きるのもわるくない。

特に「暗いのだって」は、心理学的なアプローチもあるが
社会学的なアプローチも興味深かった。
暗い人間は排除される。
明るい人間こそが歓迎される。
明るいのが良くて、暗いのはダメなのか。
静かな人間はダメなのか
こんな社会にしたのは、いったい誰だ?

もちろん心理学的な話も、ここの章を一番喰いついて読んだ。
暗い・内気な性格は直さないといけないのか?
暗いより、明るい方が周囲からも好かれるし、
明るく生きたほうが良いにきまっている。
そう思うのだけど、直せるのか?

やや、自己肯定すぎじゃないかとも思える話だったけど
自己を肯定しなければ生き辛いじゃないか。
地球上には色んな人が住んでいる。
健常者・障害者、明るい・暗い、黒人・白人などなど……
多様性な人間がいるからこそおもしろいし、勉強になる。
遺伝、環境、個人差があり、
そこには可能性も含まれれば、限界だって存在する。
価値観の違いを、排除に繋げる人たちがいる。
コイツらは、こういう奴らだから見捨てる。
差別は、ココにある。

「多様性指向型人間観」というのを作者は語っていた。
そんな社会が出来上がれば、良いのになと本当に思う。
内気がいいとかわるいとか、
暗いのはいいとかわるいとかもおなじだ。
そういうことに価値判断下すのは、
不遜なんではないだろうか

物語中で、内気に悩む学生と主人公はこんな会話をする。
そして学生は、内気を直そうとするのは不遜ですかと尋ねると、
主人公は、そういうことでなく、人間社会というものがだよと答える。

心理学のことをメインに扱っている本だけど
もしかしたら、作者はこのことを
一番書きたかったのかもしれないと僕は思った。
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2006年07月23日

『図書館戦争』 有川 浩

図書館戦争 図書館戦争

まだテストは控えているけど、2ヶ月ぶりくらいに一日予定なしなので
ここ数日間の寝不足分を取り戻すかのように眠りまくっていたkakasiです。
おかげで、めちゃイケ見逃したり、ジュビロの試合チェックし忘れたり
唯一みてるドラマのマイ☆ボス マイ☆ヒーローも見逃しです。
昼の12時に起きて、さらに昼寝して、夜の10時に友達から
電話かかってこなっかたら、どんだけ寝るんだよ!って状態でした。

テスト期間だったけど、貸し出し期間があるので読まないといけなかった
図書館で借りた、図書館戦争。
図書館で司書で戦争。
図書館の自由が侵されるとき、
我々は団結して、あくまで自由を守る
テンポが良くて、漫画のような展開。
ありえねえと思えることも多々あったけど
見所も多く、考えさせられることもあり良い話だとも思った。

そして主要メンバーが純粋。みんないい人。
だけど戦争するなら、それは逆にいらないかもしれない。

これは、自衛隊の話だと僕は感じた。
守るものを国ではなく、本に置き換えたもの。
僕は、戦争は嫌い。
理由は関係なく人殺しのことなんて見たくも聞きたくもない。
自衛のためだからと武器など持ちたくない。

だけど、何が起こるかわからない世の中では武装が必要になる。
いい人なら、大切なものを守りたいと思うだろう。
守るためには武器が必要なこともあるだろう。
結局、自由を守るためには、力が必要なんだと思う。

図書館の自由な資料収集を有する権利は、僕も賛成。
こんな文章しか書けない僕でも
2年ちょっと、司書や生涯教育の勉強をしているので
自由の大切さはわかるし、その難しさもよくわかる。
本を焼く国では、いずれ人を焼く
焚書で、世の中が本当に良くなると思えないし
上記の通り、本を焼くようなことをする国は、人を焼く。
それは、焚書坑儒のように歴史が語っている。
だからといって、守るため武力を使うのは好きでない。
それは、映画やアニメのような世界で
そのために戦うことを見るのは好きだけど
現実世界で、それを行うのはやっぱり違うと思う。

この話は小説の世界で、許容の範囲だと思うけど
やっぱり何か違うと思うのは、図書館が舞台だからだと思う。
図書館のあの空間を戦争の舞台にしてほしくないと思った。

ただ、やっぱり物語自体は楽しく読めたので
小説としては、スゴイ良かったです。
実際にあったら絶対嫌だけど、こんな本もアリかなって思う。
おそらくライトノベルのジャンルになるんだろうけど
久しぶりに読んだライトノベルは、やっぱり独特に感じられて
ちょっと懐かしい感じもした。
そして、ライトノベルだっておもしろいものは、おもしろい。







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2006年06月08日

『悪夢はダブルでやってくる』 浅暮 三文

悪夢はダブルでやってくる 悪夢はダブルでやってくる

僕の場合、悪夢はダブルじゃすみません。
来るときは、何度も畳み掛けてくるので困ったものです。
今だって、ジュビロのマコ様の怪我でのワールドカップ離脱や
今まで、次に繋がる繋がる言ってた監督が、逃げ出してしまいましたよ。
批判はしたくないけど、一向に次に繋がらないのでいたしかたないか。
ついでに先日の飲み会で、失態まで犯してしまった。
一人暮らしの若者には天敵の梅雨まで来たようで。
洗濯どうしろってんだ。じめじめしてくるし。
悪夢は連鎖ですよ。

ということで、この前読んだ、『似非エルサレム記』と同作者です。
あんまり好きな小説では無かったけど、この作者の
ダブ(エ)ストン街道の感覚が忘れられないので、また挑戦。

ややこしい文体にしてある今作。
作者は、読者に語りかけすぎ。
読んでいけば、こんな書き方にした理由もわかるけど、
もっと素直にして欲しかった。
内容もかなり凝っているけど、話の骨を折るもの多し。
ホント無駄が多い。
でも、その無駄が以外におもしろかったりする。

内容は凝ってるけど、物語自体は、あんまり凝ってなかったりする。
かなり、単純で先が読めることもチラホラだったけど、
ファンタジーでパロディなのであっと驚くこともチラホラ。
現代風ファンタジーで、現代風アラジンと魔法のランプ。
ばからしいけど、おもしろい。
posted by kakasi at 23:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「あ行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月07日

『似非エルサレム記』 浅暮三文

似非エルサレム記 似非エルサレム記


ある日、突然土地が動き出した!
しかもその土地は、聖地エルサレム!
一匹の犬を乗せて、エルサレムは進み出す。

という内容です。
それ以上でも、それ以下でもない。
ただし、寓話ではある。
少し、作者の押し付けを感じるけど……

けっこう想像力を掻き立てられる話。
なにせ、土地が動くのだから、ありえないわけです。
ありえなくても、そういう話だから、それを前提に考えなくていけない。
想像もつかないけど、想像するしかない。
漫画の『ワンピース』でも載っていたけど、
物理学者のウイリー=ガロンは、語った。
Anything can happen.
人が空想できる全ての出来事は、起こりうる現実である

こんな空想も、悪くないかもと思った。
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2005年10月26日

『ダブ(エ)ストン街道』浅暮三文

ダブ(エ)ストン街道 ダブ(エ)ストン街道

なんだこの表紙は?と思わず買ってしまったこの本。
メフェィスト賞受賞作品なのに、全然ミステリーじゃない。?????
これは、ファンタジーだ。
ファンタジーで冒険物だが、敵はいない。

物語は簡単、主人公のケンが行方不明になった恋人タニヤを探しに、
謎の島「ダブ(エ)ストン」へやってくるというものだ。
この小説の人物たちは、常に迷っている。
人は生きている限り、旅人とはよくもまあ、言ったものだが、
それがピッタリ当てはまるのが、この小説に人物たち。
かなり変わり者だが、愛すべき人物たち。
人間だけでなく、言葉を話す熊や、半漁人、
そしてみんな知っているアノ人まで。

だが、この名前さえダブ(エ)ストンとは、正直わからないこの地では、
彼らもただの、迷い人。
RPGでよくある迷いの森と言ったところか…
ただし、行き止まりなどなく、どこまでも続いていく。
森ばかりでなく、街道を歩いてさえ迷ってしまう。

「ダブ(エ)ストン」「ダブエストン」「ダベーストン」
「ダブストン」「ダベットン」
名前さえ定かでない、正しき道など存在しないこの島で、
ケンはしだいに、生きる意味を見つけることになる。
ただの考古学者のケンが、
アップルという郵便配達と一緒に放浪することで、
ダブ(エ)ストンを歩き続けることで……

それにしても何とシュールな。
全てがシュールだ。お供が郵便配達というところも。
そういえば『20世紀少年』の2巻の表紙が、
シャケおにぎりを持ち、赤ん坊を背負っている、コンビニ職員というのに
惹かれたのと、何となく似ている。
世界を救うために立ち上がる、コンビニ職員。
謎の島で、旅をする考古学者と郵便配達人。
う〜ん、ある意味ミステリー


posted by kakasi at 17:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「あ行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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