2008年06月07日

『暗黒童話』 乙一

暗黒童話 (集英社文庫) 暗黒童話

読み終えたとき感じたのは、健気な少女の成長物語だということだった。
しかし、タイトルは暗黒童話。
読むには、それなりの覚悟が必要かもしれない。
 
奇妙で、不思議で、残虐で、なんとも不可解な話なんだけど、
とても切ない話だった。
それでも、成長物語と感じられ、救われた感じがしたのは、
ラストがとてもさわやかで、すがすがしかったからだ。でも、少し切ない。
そこに至るまで、ひねくれたかのような物語だったので、
こうもストレートに来られて、多少驚いたけど、
少年、少女の漫画のような王道的にも思えるラストで気持ち良かった。

とはいえ、残虐な描写が、僕には耐えられず、
かなりそういう部分は走り読みしてしまった。
ああ…ダメだ。これは無い。
と、思いながらも続きが気になってしまうのは、
良い文章を書くからだと思う。少なくとも僕にとっては。

片目を移植され、記憶を無くした元優等生の少女が、
移植された片目の映し出した、誰かの風景を追っていく物語。
自分探しなのか、ただ、記憶のない自分が持っていないもの。
誰しもが持っている過去を、他人のものだとしても追っているだけなのか。
何か、人の本能的なモノを感じられた。
過去を、思い出を誰しも必要としているんだと。
そして、それは自分を認めるために必要なんだろうなと。
少女は、記憶をなくし、以前の自分と変わってしまったことで、
他人の顔色ばかりを気にしていた。
でも、それより自分が自分を認めるということが、
何より大切だったんだろうなと、僕は思った。
posted by kakasi at 07:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「あ行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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