2007年06月11日

『失はれる物語』 乙一

失はれる物語

この前読んでいた『ZOO』とは打って変わって。
タイトルと表紙から、少し連想できたように、ホラーではなく
儚げで、幻想的で、美しく、ロマンチックに。
この作品も短編集で、

Calling You
失はれる物語

手を握る泥棒の物語
しあわせは子猫のかたち
ボクの賢いパンツくん
マリアの指
ウソカノ

特にお気に入りは「しあわせは子猫のかたち」
簡単に言えば、自分の世界に閉じこもっているような
学生の男と幽霊の話で、どこかで聞いたような話でもあるのだけど
物語の雰囲気が好きで、優しくて、幸せに満ちている。
でも、絶対的な別れが感じられて、その間の日常が、
とてもすごく好きになれた。

「Calling You」と「傷」は以前読んだことがあったけど、
改めて読むと、やっぱりいい話だなって思った。
昔これが収録されていた本を売った自分に、何故にと問いたい。

タイトルでもある「失はれる物語」は、
とても残酷で辛い話ではあるけど、優しくも感じられた。
『ジョニーは戦場に行った』のような植物人間になってしまう話だが、
ジョニーよりかは、絶望感、悲壮感は無く、
安心して読めたというと嘘になるけど、だいぶ自分の心は楽だった。

総じては、乙一という人は、想像力に溢れていて、
強い人というより、弱い人の心を描くのが上手いと思った。
何が強くて、何が弱いとかは、よくわからないが、
その弱い人の心の強さを思った。
そう書くと、その弱い人とは強い人ではないかと思うが、
なんて言えばいいのだろう。
マイノリティとなるのか、世間的に軽く扱われているとなるのか、
よくわからないが、とにかくそんな風に感じられた。




posted by kakasi at 01:28 | Comment(2) | TrackBack(1) | 読書 作家別 「あ行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ。
TBとカキコありがとうございました。
どの作品も好きですが
「しあわせは子猫のかたち」が1番好きです。
主人公ほど暗くはないと思いますが^^;
気持ちが結構分かる部分があって。
共感できたんですよね。
そして彼女からの最後の手紙。
不覚にも涙しました。
Posted by 苗坊 at 2008年02月13日 21:17
苗坊さん、こんばんわ。

「しあわせは子猫のかたち」のかたちは本当に好きです。
手紙を良かったですけど、その手紙がなくたって、お互い幸せなのがよくわかりました。
でも、気持ちをどうしても伝えたかったということが、僕にも伝わってきて、
これもハッピーエンドの1つだなと思いました。
Posted by kakasi at 2008年02月14日 22:56
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失はれる物語 乙一
Excerpt: 失はれる物語 (角川文庫) Calling You 失はれる物語 傷 手を握る泥棒の物語 しあわせは子猫のかたち マリアの指 きみの音楽が独房にいる私の唯一の窓、透きとおった水のような6..
Weblog: 苗坊の読書日記
Tracked: 2008-02-13 21:15

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