2010年11月24日

『ヴィーナスの命題』 真木武志

ヴィーナスの命題 (角川文庫)  ヴィーナスの命題

大きな物語が欲しいのよ

何とも心踊らされる言葉なんだろう。
僕が小説というか、創作の物語に惹かれているのは、大きな物語が欲しいからだ。
結局のところ、現実は小さな物語の固まりでしかないので、
創作の物語に自分を投影して、夢を見ている。
でも、今のご時世に大きな物語なんて、ましてや日本では難しい。
たとえ、物語の中だって。

ヴィーナスの命題の文中のこの言葉に惹かれるのは、
壮大な物語みたいな響きに間違ってとってしまうからなのか。
ミスリードとすら呼べないほどの、酷い勘違いだけど、
言葉の響きって重要だと感じた。


ある高校の自殺事件がきっかけとなり、次々と起こる事件に翻弄され、
真相を追っていく少年少女達……というのが物語だ。
なんとも典型的なミステリー小説だけど、
漫画のキャラクターのようにキャラ付けされた人物が、
上手くマッチしていて青春小説の味付けがされている。


はっきり言ってしまうと、目まぐるしく変わる視点の変化が
どうにも読みにくくて、読み進めるというより、読み解いていくという感覚だった。
ある意味、それはミステリーの醍醐味なんだけど、
1回よむだけでは、わからない。
2回読んでも、真相はよくわからない。
恐らく、こういうことだったんじゃないかという曖昧なイメージしか得られないので、
カタルシスには欠けるけど、ささやかで綺麗な物語だった。
大きな物語になりえた物語は、小さな物語で締めくくられていた。
これは悪いことなんかじゃない。

posted by kakasi at 04:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「ま行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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