2009年04月21日

『新世界より』 貴志祐介

新世界より 上 新世界より 下


貴志さんの作品を読むのは『硝子のハンマー』以来で
過去ログを遡ってみたらおよそ4年ぶり。
完全ミステリーだった『硝子のハンマー』
そして今作は、現代から遥か未来を描くSFファンタジー。
そういう触れ書きはするけど、
物語の舞台は、宗教的、土着的なものが感じられるオカルトチックな世界。
主人公の少女のおよそ20年もの長い長い物語。
ページも1000ページを超える、まさに大作。

この物語では人間は呪力という力を持っていたり、
動物達の生態系は、ものすごい変化を遂げていたり、
挙句の果てには、人語を話すバケネズミという奇妙な生き物がいる。
そして遥か過去の文明の中心だった機械は、まったく姿を消している。
別世界の物語のようなこの本だったが、
次第に明かされていく、封印された人類の過去。
閉鎖的な世界で管理されていて、
まるで籠の中の鳥のようだった主人公たちが、
世界の真実へと触れていき、広がる物語は圧巻。

作者もじっくりとこの世界の下地を作っていて、
細かい設定がこの不可思議な世界を理由づけている。
そこで繰り広げられる、少年少女の物語は、
壮大なスケール感を持ち、時代を超えての
人間の愚かさを説いているかのような教訓じみたものも感じられ、
新世界の寓話のようだった。
posted by kakasi at 23:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 作家別 「か行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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