2008年11月09日

『99%の誘拐』 岡嶋二人

99%の誘拐 (講談社文庫)  99%の誘拐

さっそうと行われる誘拐劇。
けっこう厚めの本だけど、スピード感があり、
余分な部分を削り、その誘拐劇をかろやかに書いているので、
劇中の誘拐方法、そして身代金の受け渡しのように、
あっという間に、テンポ良くページがめくらされた。

ある誘拐事件から時代を経て、新たに同じような誘拐事件が起きる。
犯人には、強烈な悪意は感じ取れなかった、むしろ悲哀が感じられた。
しかし、誘拐とは卑劣なものだと思う。
だけど、僕が犯人と同じ立場だったら、責めきれない。
僕が傍観者としてなら、その誘拐に軽蔑をするだろう。
でも被害者側だとしたら、責めきれない。
誘拐された人物の心境を思えば、やっぱり許せないが。

そんな事件を書き上げているが、僕が好きなところは、
物語の1章を務める、最初の誘拐事件。
スピーディーでスタイリッシュな2つ目の事件もいいが、
2つ目の事件を知りえた後でもう一度読み返すと、
また、面白いと言ったら不謹慎だけど、
物語の掴みであり核であり、全ての象徴のように思えた。

読み終えて、これでいいのだなと問われたら、
いいわけないと答えたいが、
これもある種の解答なんだと思う。
だけど、全てが間違っていると答えられなくもない。
とても複雑な気分になった話だった。

posted by kakasi at 23:11 | Comment(0) | TrackBack(1) | 読書 作家別 「あ行」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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